2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではデンソーエアリービーズを紹介していく。
クラブヒストリー:創部から50年以上拠点を置いた愛知県西尾市から福島県郡山市にホームタウンを移転
1972年に旧社名の日本電装としてスタートした歴史あるチーム。1986―87シーズンからにトップリーグ参戦を果たした。一度、降格を経験したが、1994-95から復帰し、トップリーグの座を守り続けている。1996年から社名変更に伴って現在のチーム名となった。
全日本世選手権と黒鷲旗では計3度の優勝を経験したが、リーグでは2007-08の準優勝が最高成績。昨季は5位で、直近の5季の最高成績は4位が2度と思うような成績を残せていない。SVリーグ初年度となる今季は、悲願の優勝を目指す。
愛知県西尾市で生まれたチームだが、4月に福島県郡山市にホームタウンを移転することを発表した。郡山市では練習用の体育館などの建設が進む。創部から50年以上拠点を置いた西尾市は「マザーホームタウン」として、今後も試合や普及活動で関わっていくという。郡山市での体制が整うまでは当面は西尾市を拠点として活動するが、今季からは福島でのホームゲームがメインとなり、地域とどのように連携して盛り上げていくか注目される。
このオフの動き:中心選手が多数退団しチームが大きく変化
大きな変化があったチームだ。長く中心選手として活躍した中元南が引退。ミドルブロッカーとして好守で存在感を放っていた横田真未、横田紗椰香の姉妹が揃って退団し、クインシーズ刈谷に移籍した。さらに、日本代表として活躍した不動の守護神、福留慧美は海を渡ってイタリア1部リーグへと活躍の場を移した。
その分、補強も積極的に行った。横田姉妹がいなくなったミドルブロッカーには、東レ滋賀から大崎琴未、PFUから瀬戸杏華と経験豊富な2人を獲得。リベロには日本代表候補になったこともある福本眸がKUROBEから加わった。
アウトサイドヒッターには、海外のリーグを経験した東谷玲衣奈が3季ぶりに復帰。コロンビアからコネオ・カルドナ・アマンダ・ダニエラを獲得するなど、的確に弱点を補う選手をチームに招くことに成功した。
セッターにもクインシーズ刈谷から山上有紀、フィリピンからデグズマン・ジュリア・メリッサ・モラドが加わった。これまでの戦力との化学変化が起こりそうな顔ぶれだ。
2024―25シーズンの戦い方予想
攻撃の中心となるのはパリ五輪でブラジル代表の主力として銅メダルを獲得したモンチベレル・ロザマリア。日本で2季目を迎えることもあり、昨季を超える活躍に期待したい。ただ、一発の破壊力にはやや欠けるため、ロザマリア頼りにならない攻撃を展開したい。
鍵となるのはミドルブロッカー陣。高い決定力を誇る速攻で攻撃のアクセントとなっていた横田姉妹が抜けた穴を埋められるか。移籍で加わった大崎が7月末に左手を手術して全治5カ月となったため、開幕には間に合わない。183cmの長身を生かしたプレーが光る麻野七奈未、横山真奈、新加入の瀬戸で乗り切れるか。
ダニエラは初めての日本のリーグになるため、どの程度できるかが未知数。本来の力を発揮できれば大きな戦力となるだろう。ダニエラとロザマリアが二つの柱として活躍できれば、上位への道も開けてくる。
古市彩音、山口結可に加え、山上とモラドが加わったセッター陣。タイプの違う4人をどう使い分けるかも勝敗の鍵を握りそうだ。
注目選手:東谷玲衣奈
3季ぶりに復帰した東谷玲衣奈に注目したい。さらなる活躍が見込まれていた3季前の退団には驚いたが、その後はフィンランド、韓国と二つの国のリーグを経験した。言葉も文化も違う国で揉まれ、レベルアップした姿を見せてくれるに違いない。
特に期待したいのは攻撃面。パンチ力のあるスパイクでチームの核となれれば、チームとしての幅は大きく広がる。守備でも大崩れすることなく踏ん張ることができれば、上位に食い込む原動力となれる存在だ。
東京・八王子実践高時代から期待されながらも、伸び悩んでいる印象があった3季前。日本と異なる生活環境、バレーボールへの取り組み方などを知ったことで、選手としてだけでなく、人間としても一回りも二回りも大きくなっただろう。25歳となり、中堅選手として安定したプレーをシーズンを通して出せるかどうか。スタメンだけでなく、途中出場など様々な起用法が予想される。海外で腕を磨いた成果をSVリーグ初年度で示してほしい。