2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではサントリーサンバーズ大阪を紹介していく。
クラブヒストリー:実績十分な歴史あるチーム
1973年に結成され、Vリーグでは初代王者に輝いたのち、前人未到のリーグ5連覇を達成した。2006ー07シーズンを最後の優勝から遠ざかったが、2020ー21シーズンに元日本代表ミドルブロッカーの山村宏太監督が率いて14年ぶりの優勝を果たすと、翌年連覇を達成。ウルフドッグス名古屋に3連覇は阻まれたが、昨季王座を奪還。過去4シーズン連続でファイナルに進出し、そのうち3度優勝している。さらに昨年はアジアクラブ選手権で日本のクラブとして初めて優勝し、世界クラブ選手権でも日本勢初のメダルを獲得。チームが掲げる“世界一”という目標が夢物語ではないことを証明した。
練習拠点のある大阪府箕面市をホームタウンとして成長を遂げてきたが、その後ホームを大阪市へと広げ、今シーズン“サントリーサンバーズ”からチーム名を“サントリーサンバーズ大阪”に変更した。
このオフの動き:昨年とほぼ同じメンバーに加え大型補強も
昨季まで4季指揮をとった山村前監督が退任し、コーチを務めていたフランス出身のオリビエ・キャットが今季、監督に就任した。昨季の優勝メンバーからは、社業に進むため引退したリベロの髙橋結人、中国出身のアウトサイドヒッター兪元泰が抜け、鍬田憲伸がヴォレアス北海道にレンタル移籍した他には誰一人欠けることなく、そこに強力なメンバーが加わった。
1人は日本代表のアウトサイドヒッター髙橋藍。日体大2年時から昨季までの3シーズン、世界最高峰のイタリア・セリエAで腕を磨き、昨季はプレーオフファイナルに進出して準優勝。世界トップレベルのサーブレシーブ、ディグ力に加え、年々スパイク、サーブでも存在感を増してきた。初参戦のSVリーグでどんなプレーを見せるのか、開幕前から最も注目を集めている選手だ。
さらに、パリ五輪銀メダルのポーランド代表アウトサイドヒッター、アレクサンデル・シリフカも獲得。サウスポーから繰り出す巧みなスパイクで得点を積み重ねる。また昨季までVC長野でプレーした下川諒も加わり、セッターにも厚みを増した。リーグ一の選手層と言えそうだ。
2024―25シーズンの戦い方予想
昨季もコーチだったオリビエが戦術面などを担当していたため、監督になった今季も戦い方に大きな変更はなさそうだ。昨季まで築いてきた土台の上に、さらに精度の高さやバリエーションを加えて強固なチームを作り上げる。
セッターの大宅真樹、入団7季目となった身長218cmのロシア出身オポジット、ドミトリー・ムセルスキー、パリ五輪日本代表のミドルブロッカー小野寺太志は今季も変わらずチームの柱となるだろう。
起用法が注目されるのはアウトサイドヒッターだ。新加入の髙橋藍、シリフカは世界的な選手だが、昨季の優勝メンバーである藤中謙也、デ・アルマス・アラインにもこれまで積み上げてきた技術や信頼関係があり、簡単にポジションを渡すわけにはいかない。
髙橋藍の兄・塁も得意のサーブから徐々に出場機会を増やしており、元気印のルーキー染野輝の巧みな技術にも期待がかかる。ミドルブロッカーの層も厚く、小野寺の対角を誰が射止めるのかも見どころだ。
注目選手:大宅真樹
大砲・ムセルスキーや、キューバ出身で今年日本国籍を取得したアラインといった得点力のあるメンバーに加え、髙橋藍、シリフカという世界レベルのスパイカーが加入しただけに、鍵を握るのは司令塔の大宅だろう。
同学年で息の合う小野寺をはじめとするミドルブロッカーを含め、能力の高いスパイカー陣をどのように操るのか注目だ。髙橋藍がコートに入ればよりサーブレシーブが安定することが予想され、大宅の持ち味であるミドルを絡めたトスワークが発揮されそうだ。優勝を決めた昨季のファイナル後、「今のサンバーズで100%のトス配分はできた」と語ったように、ファイナルや世界クラブ選手権など大舞台で力を発揮する選手。今年は日本代表Bチームで主将を務め若手選手をまとめる役割を担った。名だたるスパイカーが揃う状況はセッターにとって重圧にもなるが、今の大宅ならそれを楽しみながら結果につなげられるだろう。