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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではSAGA久光スプリングスを紹介していく。

クラブヒストリー:SVリーグ女子の中一番古い歴史を持つチーム

 久光製薬鳥栖工場のサークル活動で始まったSAGA久光スプリングスは、1948年に女子バレーボール部を創立して本格的な実業団チームとなった。SVリーグ女子の中では一番古い歴史を持つ。1994年のVリーグ発足時に「久光製薬スプリングス」と名称が変わり、2000年には、チームの経営が厳しく存続危機にあった神戸市拠点の「オレンジアタッカーズ」の選手やスタッフを、久光製薬が受け入れた「久光製薬スプリングアタッカーズ」、元々あった「久光製薬スプリングス」から「久光製薬鳥栖スプリングス」に変わった2チーム体制となったが、翌2001年に戦力を集約して「久光製薬スプリングアタッカーズ」の1チーム体制となる。

 直後の2001・2002年シーズンのVリーグで初優勝し、2002年アジアクラブ選手権も初優勝を飾った。同年、チーム名を本来の「久光製薬スプリングス」に戻した。2006・2007年シーズンは3冠、2012・2013年シーズンは5冠を達成と国内を代表する強豪チームとなっていった。2014年には再びアジアクラブ選手権で優勝し、2014年から2017年は4年連続で世界クラブ選手権に出場している。直近5シーズンでは2021・2022年シーズンにリーグ優勝。昨シーズンは最終順位6位だった。

このオフの動き:日本代表の渡邊彩らが加入

 昨シーズンからリベロとして活躍した花井萌里が引退し、濵松明日香は埼玉上尾メディックスに移籍、アメリカ代表マッケンジー・アダムスとタイ代表チタポーン・カムランマークが退団した。新たにアメリカ代表オポジットのステファニー・サムディ、ハンガリー代表アウトサイドヒッターのグレタ・ザックマリーという強力な外国籍選手が加入した。

 過去にヨーロッパのリーグや国際大会で表彰されているザックマリーは、年齢的には32歳とベテランだがスパイク技術が非常に高い。サムディもイタリアリーグで優勝を経験するなど実力は申し分ない。また、Astemoリヴァーレ茨城から日本代表の渡邊彩が移籍加入。渡邊は1991年生まれで、栄絵里香、長岡望悠とも同級生だ。

2024ー25シーズンの戦い方予想

 指揮を執る酒井新悟監督は2016年に就任し、9シーズン目という異例の長さ。酒井監督は過去に男子の堺ブレイザーズ(現・日本製鉄堺ブレイザーズ)の監督としてもリーグ優勝しており、男女両方のチームで優勝を経験した。

 昨シーズンのスタメンやプレシーズンマッチ等の情報などから考えると、アウトサイドヒッターは北窓絢音、ザックマリー、ミドルブロッカーは荒木彩花、大竹里歩、セッターは栄絵里香、オポジットはサムディ、リベロは西村弥菜美が基本と思われる。

 ただ、リーグ戦が44試合と倍増し、週末2連戦という海外リーグでは見ない形式にザックマリー、サムディがどこまで適応できるかも鍵だ。こういった点からも、長岡望悠、中川美柚、中島咲愛、深澤めぐみ、吉武美佳、渡邊彩、平山詩嫣、万代真奈美にも出場機会が多く与えられるだろう。

 サムディとザックマリーが得点源になるだろうが、ブロックの得意なミドルブロッカー陣が揃っているのが大きい。戦略的なサーブで相手を崩せれば、前衛の3枚ブロックは強力で連続点が狙いやすい。セッターが前衛時でも、二枚替えで長岡を投入すれば常に強力な3枚ブロックが完成する。相手アタッカーからすると厄介この上ない。

注目選手:荒木彩花

 注目選手はパリオリンピックを経験した荒木。身長184cmで、ブロック技術が特に秀でている。九州の名門・東九州龍谷高校の出身で、高校3年時には春高バレーで優勝、年代別日本代表に選ばれてきた。高校卒業後にスプリングスに入団し、2021・2022年シーズンにリーグ優勝に貢献し、自身もブロック賞、スパイク賞、ベスト6と表彰された。一方で、怪我による長期離脱を数回経験している。パリ五輪1年前にも大きな怪我をして代表入りが危ぶまれたが、苦しい時期を乗り越えてパリの地を踏んだ。一回り成長したプレーを見せてくれるに違いない。また、愛されキャラなのか、チームの一押し選手なのか、公式YouTubeにたびたび登場し面白い素顔を見せている。