29連勝中で首位を独走していたサントリーサンバーズ大阪を止めたのは、今季苦しんできた7位の日本製鉄堺ブレイザーズだった。3月5日に行われたホームゲームで、サントリーを3-0で破り、今季11勝目を挙げた。
サントリーはオポジットのドミトリー・ムセルスキーが先発を外れ、アウトサイドヒッターのデアルマス アラインもベンチ外となるなど万全の布陣でなかったとはいえ、実力者が揃う首位チーム。シーズン前半は一時最下位に沈むほど苦戦した日鉄堺BZにとっては大きな勝利だった。
この日はアメリカ代表のマシュー・アンダーソンがふくらはぎの怪我から先発に復帰し、シーズン序盤は調子の上がらなかった高梨健太も本来のプレーを取り戻し、スパイク、ブロック、サーブで貢献。オポジットのウルリック・ダールも60%を超えるスパイク決定率で得点を量産した。そしてセッター大宅真樹のクイック、パイプ攻撃を積極的に絡めた巧みなトスワークも光った。今季の新戦力がここにきて噛み合い、貴重な白星を勝ち取った。

セッターの大宅は、「誰がいる、いない関係なしに、サントリーというチームに勝ち切る力がついてきたということはすごく自信になりました。サントリー相手に3-0で勝ち切れるとは正直思っていなくて、もつれるだろうなと、試合をしながらでも思っていた。それをしっかりと取り切れたというところは、本当に力がついてきているのかなと、自信になった1日でした」と“自信”という言葉を繰り返した。
この試合は身長201cmのミドルブロッカー秋間直人が今季初スタメン。北島武ヘッドコーチの狙いは「サーブ」だった。
「秋間のサーブは、ミドルブロッカーの中で一番高確率で崩せる。サントリー戦で一番のキーポイントはサーブだと思ったので」
その秋間はサーブだけでなく、高さと幅のあるクイックでも10本中8本決定する活躍で相手を翻弄。「大宅さんがいいタイミングで上げてくれたので、効果的なスパイクが打てたかなと思います」と感謝した。
第1セットから積極的に秋間を使った大宅は、こう振り返った。
「(日鉄堺BZに)入団してから、彼のスパイクの幅広さというのは感じていたので、たぶん通用するなと思って、自信を持ってトスを上げましたし、それを結果で見せてくれた。こういう1つ1つの経験が、彼にとっても大きな自信になると思ったので、今日という日を秋間にも大切にして欲しかった。チャンスを自分でものにした1日だと思うので、僕も嬉しかったですし、すぐに結果を出すのはなかなかできることではないと思うので、1日でやってのけた秋間はすごいなと感じながら上げていました」
それから、「今日彼は体育館(日本製鉄堺体育館)にシューズを忘れて、僕に『取ってきて』みたいな電話があった。なのでいっぱい(トスを)上げたというのもあります(笑)」と付け加えて記者会見場を笑いで包んだ。隣に座っていた秋間とアンダーソンも大笑い。和やかな雰囲気はチーム状況が上向いている証拠だ。

昨季まで7シーズン、サントリーで正セッターを務め、4度のリーグ優勝を経験した大宅は、古巣の連勝を止めたことについて聞かれるとこう答えた。
「たぶんサントリーさんもいろんなことを考えなきゃいけない時期だと思う。誰かを休ませなきゃいけないし、その中でも勝ち続けなきゃいけない、というのは、僕も昨シーズンまで経験しているので、痛いほどわかるというか。さらに、連勝がこんなに続いて……あと1勝で30連勝というのもあって、やりづらさはあったと思います」

また、昨季まで共にプレーし、今季限りでの引退を発表しているサントリーのムセルスキーへの想いもこう明かした。
「約7年一緒にやりましたけど、すごく人として出来上がった人で、プレーヤーとしても、僕が評価できないぐらいのレベルにいる人。まだできるだろうって思う反面、最後、彼に上げたかったなという思いは正直あります。でもそこはもう移籍して、僕も気持ちをしっかり切り替えて、今ブレイザーズで戦っている。今こちらにはアンダーソンというスター選手がいて、彼から得られるものもたくさんあります。
試合では、あまりディマ(ムセルスキー)のことを意識しないようにはしていますけど、試合前などは自分からコミュニケーションを取りにいったりしています。もしかしたら明日、サントリーと対戦する今季最後の試合になるかもしれないので、楽しみながらやりたいなと思いますし、ディマとの思い出はいっぱいあるので、そこは“ありがとう”と伝えたいですね」
翌日の試合も、セットカウント3-0でサントリーを相手に2連勝し、チャンピオンシップ進出圏内の6位・広島サンダーズとのゲーム差を縮めた。自信を取り戻した司令塔が躍動する日鉄堺BZが、逆転でのプレーオフ進出へ、上昇気流に乗ってきた。




