[写真]=金田慎平

 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日に開幕した。世界最高峰のリーグを目指すSVリーグには、日本代表の選手だけでなく各国からもスター選手たちが多く集結。そのハイレベルなプレーが見られるはずだ。今回はその中でも注目の12選手(Part1では4選手)を紹介していく。

ロペス・ミゲル(大阪ブルテオン/キューバ代表)

[写真]=金田慎平

 ロペスはキューバ代表の世界トップクラスのOHだ。サントリーが銅メダルを獲得した世界クラブ選手権の2021年大会では、当時所属していたクルゼイロ(ブラジル)を優勝に導き、大会MVPを獲得した。

 そのロペスのプレーの強みは高さとパワーだ。キューバ代表は鳥人軍団と呼ばれていて、バレー界では世界最高の身体能力を誇っている国だ。その身体能力の高さは特にスパイクで活かされており、キューバの選手は全身を余すことなく使った美しいフォームからパワフルに打ち込む。

 ロペスも2024年のVNLの日本戦ではパワフルなスパイクで日本ブロックを粉砕し続け、両チーム最多の25得点を記録した。

 さらにロペスはジャンプ力も高く、身長は190cmとバレー選手の中では小柄だが、最高到達点は362cmで世界でもトップクラス。またキューバ代表は攻撃力が高い反面、レシーブが苦手な選手が多いがロペスは例外で守備もそつなくこなせる。

 大阪ブルテオンとしての初陣となったフィリピン代表との親善試合やSVリーグ開幕戦のサントリーサンバーズ大阪戦でも、ロペスはパワフルなスパイクで攻撃の主軸の一人となっていた。世界トップの身体能力を活かしたロペスの美しくパワフルなスパイクには要注目だ。

ジェスキー・トーマス(大阪ブルテオン/アメリカ代表)

[写真]=金田慎平

 アメリカ代表としてパリ五輪にも出場したジェスキー。パリ五輪では強みの守備でチームに貢献し銅メダル獲得に貢献した。

 特に途中出場で起用されたポーランド代表ろブラジル代表戦ではそれぞれ8本のサーブを受け、返球率はそれぞれ88%と75%という素晴らしい数値だった。

 クラブでは、昨シーズンから大阪ブルテオンの前身のパナソニックパンサーズに所属しているジェスキー。天皇杯の優勝とVリーグファイナル準優勝に貢献しベスト6にも選出されている。

 また、Vリーグ予選ラウンド全38試合では攻守共にトップクラスの数値を記録。レセプション返球率は65.6%で全体5位を記録。スパイカーの中では富田将馬(東レアローズから大阪Bに移籍)に次いで2位の数値だった。さらにアタック決定率は57.5%で小野寺太志(サントリーサンバーズ大阪)に次いで全体2位を記録。アメリカバレー特有の高速平行とパイプで得点を量産した。

 それだけにとどまらず、サーブ効果率も12.6%で西田有志に次いで全体2位の記録。コントロール自在でミスが少ないジャンプサーブで敵のレシーブを崩し続けた。

 昨季のジェスキーは、守備はリベロ並、攻撃はリーグトップクラスという最高の活躍を見せた。その世界屈指の守備力とサーブ、高速平行とパイプでの得点力に注目だ。

ドミトリー・ムセルスキー(サントリーサンバーズ大阪/元ロシア代表)

[写真]=金田慎平

 身長218cmの大砲ムセルスキー。ロンドン五輪の金メダリストであり、同大会の決勝ブラジル戦ではロシア代表を優勝に導く大活躍。2セットを先取され後が無くなった状況でMBからOPにポジションを移すと、その起用に応え、最多31得点の活躍を見せ大逆転勝利の立役者となった。

 そのロンドン五輪から10年たった現在も、サントリーをクラブ選手権で3位に導き、大会ベストOPに選出された世界トッププレイヤーだ。

 そんなムセルスキーの強みはやはり世界トップクラスの高さだ。身長218cm、最高到達点375cmの圧倒的な高さを活かしスパイクを打ちこんでくる。パリ五輪に出場した全選手と比べてもトップの身長だ。

 さらに彼は高さを活かすだけではなく技術力も高い選手だ。コースの打ち分けは的確で、2段トスを打ち抜く高い技術力も兼ね備えている。サントリーでプレーした6シーズンの内5回ベスト6に選出されているのがその証拠だ。

 守備力が世界最高峰のVリーグでデータを取られながらトップOPに君臨し続けるのは、高さだけの選手には不可能だ。ムセルスキーのプレーを見る際には、世界トップの高さを活かしたプレーはもちろん、長期的に結果を残す秘訣である技術力の高さも見てほしい。

アレクサンデル・シリフカ(サントリーサンバーズ大阪/ポーランド代表)

[写真]=Getty Images

 シリフカはポーランド代表の一員として、今年のパリ五輪では銀メダル、昨年のVNLでは金メダルを獲得し、日本代表の石川祐希と共にベストOHに選出された世界トッププレイヤーの1人だ。

 またクラブでの活躍も素晴らしく、欧州チャンピオンズリーグで2021年から大会3連覇の偉業を果たしている。

 そのシリフカがプレーで誰にも負けない特技に挙げているのが、想像できない点の獲り方をすることだ。

 OHでは珍しい左利きと、コンパクトなモーションで強烈なスパイクが打てることを活かし、ギリギリまで敵ブロックを観察して巧みに利用する。近年のOHは高さとパワーだけではなく、五輪を優勝したフランス代表やシリフカのようにテクニカルなプレーでも世界と戦えることが証明されている。

 高さとパワーで世界に劣る日本選手にとって、シリフカのテクニカルな点の獲り方は多大な影響を与えることに間違いない。