21日(土)、令和6年度皇后杯決勝がAsueアリーナ大阪で行われ、ヴィクトリーナ姫路とSAGA久光スプリングスが対戦した。
姫路は、1回戦で札幌山の手高等学校、2回戦でクイーンズ刈谷、準々決勝でデンソーエアリービーズ、準決勝で岡山シーガルズと対戦して勝ち上がってきた。一方のSAGA久光は、2回戦でKUROBEアクアフェアリーズ、準々決勝で埼玉上尾メディックス、準決勝で大阪マーヴェラスと対戦して勝ち上がってきた中での対決となった。
SVリーグレギュラーシーズンでの対決では姫路が2勝しているものの、いずれもフルセットの激闘で両チームの差は拮抗している。
その中、姫路はスターティングメンバーにアウトサイドヒッター(OH)にチャッチュオン・モクシーと井上愛里沙、ミドルブロッカー(MB)に伊藤麻緒と宮部藍梨、オポジット(OP)に田中咲希、セッター(S)に櫻井美樹、リベロ(L)に森田茉莉を起用した。
対するSAGA久光は、OHに深澤めぐみと北窓絢音、MBに平山詩嫣と荒木彩花、OPにステファニー・サムディ、Sに栄絵里香、Lに西村弥菜美を起用した。
SAGA久光の栄のサーブで幕を開けた第1セット。序盤は両チームともエースにボールを集め、点を取り合う互角の展開。しかしSAGA久光はサムディの勢いが止まらない。サムディの活躍でチームに勢いをもたらすとサーブでも相手を崩し4連続得点で姫路を突き放した。対する姫路は日本代表の井上、宮部が冷静な技ありプレーでどんどん点差を縮めていく。L森田のビックプレーから長いラリーを取りきる場面も見られ、20点目前に同点まで追いついた。しかし最後はSAGA久光の両エース深澤、北窓が奮闘してブレイクするとそのまま一気に1セット目を先取した。
第2セットは、序盤からSAGA久光にブレイクポイントがあり、リードを保ったままセット中盤へ。対する姫路はサーブレシーブ返球率が第1セットに比べて大きく低下し苦しい展開となる。なかなか攻撃までつなげることができず、最大9点のリードを許す。しかしセット終盤には井上を中心に4連続得点で3点差まで追い詰めると宮部がサムディをブロックしついに1点差へ。しかし最後はサムディがブロックを弾き飛ばしSAGA久光が2セット目も奪った。
勝負の第3セットは両チームともスタートからエンジン全開でサイドアウトを取り合う熱戦。井上が深澤からサービスエースを取ると、今度は深澤が井上からサービスエースをとり両チームのエースが火花を散らす。先に均衡を破ったのはもう後がない姫路だった。サーブで相手を崩して最後は井上が決め切る。床上ギリギリのボールをみんなでつないで点数につなげる。こうしたプレーがチームを勢い付け気づけば10点リードで第3セットを取り返した。
疲れが見え始めてくる第4セットだが両チームとも集中を切らさずボールを落とさない。サイドアウトが続きなかなか点差が開かないままセット中盤へ。この拮抗した展開に、解説の迫田さおりさんからは「点数を取り急がないで」というアドバイスもあった。試合が動いたのは20点目前。姫路がセット終盤に驚異の4連続得点。相手のスパイクを拾い上げトスにつなげると両エースが冷静かつパワフルなスパイクで得点。タイムアウトをあけても集中を切らさず攻めのサーブから得点につなげた。対するSAGA久光は北窓、深沢が要所で得点するも姫路の勢いを止めることができない。姫路が勢いそのまま第4セットも取った。
互いに2セットずつを取り合い迎えた最終第5セット。点数を決めるたびにガッツポーズと雄叫びが上がる大熱戦。両者一歩も譲らずブレイクが一度もないままコートチェンジでセット後半。姫路の井上がサービスエースでこの試合初めてのブレイクポイントを取ると立て続けにチャッチュオンがブロックし3連続ポイント。対するSAGA久光もサムディにボールを集めて反撃し、長いラリーを制して12ー12と同点に追いついた。しかし姫路のチャッチュオン、井上が連続でスパイクを決め、マッチポイント。最後はエース井上が決めて姫路が皇后杯初優勝を飾った。
先にSAGA久光に2セットを奪われてからの大逆転。2セット目にはレセプションを大きく崩され苦しい時間も続いたが、気持ちを切り替えて全員バレーで初のタイトルをつかみ取った。特にエースで日本代表の井上は、苦しい場面や難しいトスでもしっかり得点につなげてチームを何度も救い、勢い付けた。過去には2部への降格経験もある姫路。優勝が決まったときには井上をはじめ多くの選手が涙を流し、チームの成長をファンと一緒にかみしめていた。
明日22日(日)は皇后杯決勝と同じくAsueアリーナ大阪にて令和6年度天皇杯決勝が開催され、サントリーサンバーズ大阪と大阪ブルテオンが対戦する。
■試合結果
ヴィクトリーナ姫路 3―2 SAGA久光スプリングス
第1セット 19―25
第2セット 23―25
第3セット 25―15
第4セット 25―20
第5セット 15―13