それは現地2月21日のこと。「Nations Winter Cup」の会場へ、イタリア・セリエAの強豪コネリアーノでプレーする関菜々巳が激励に訪れたのだ。同じセッターであり、日本代表という点ではシニアと全中選抜(いわゆるU15に相当)で同じ日の丸をつけるものどうし。そこで小林は関に質問をぶつけている。「テンパってしまうんです」と。
そのときの回答を、小林はこのように明かした。
「関さんから言っていただいたのは、『テンパったり、緊張したりするのは、それまで自分たちが頑張ってきた証しだから』と。それに『得点を決めてもらうかどうかは、最後はアタッカーの責任だから、任せるしかない。まずは自分のやるべきことをしっかりすることが大切だよ』と教えていただきました」
トップ選手に直接アドバイスをもらえたことが純粋にうれしかった。と同時に、抱えていた悩みが晴れるきっかけとなった。

「自分の性格上、アタッカーがどう思っているのかを気にしてしまう。でも、自分の仕事をすれば、あとはアタッカーがやるべきことをやるだけ。それならば一つのことに集中したほうが自分のプレーの質も上がるし、気持ちも少しは楽になるな、と気づけました」
2年生時の海外遠征では「トスを上げることに精一杯だった」。だが今回は「周りや相手の状況を見てトスを上げる、その意識を持つところまではできました。まだまだ課題ばかりですけど、そこは成長したかな」と笑みを浮かべる。まずはセッターとして自分がやるべきことに集中したからこそ、だ。加えて、その姿勢は自然とチームをまとめあげることにもつながっていた。
全中選抜では2年連続で、JOC杯の東京都選抜でもチームメートだった大雲舞子(八王子実践中〔東京〕3年)も小林の姿を「都選抜では他の選手がキャプテンをやっていて、その次に続いて発言する、という印象でした。ですが今回の全中選抜では『チームを引っ張ろう』という気持ちが目に見えて、とてもよかったと感じました」と語っている。

自分が引っ張るんだという強い思いはあっても、苦手意識が自分にふたをしていた。「振り返ると中学ではチームづくりにおいても人間関係の部分には目をつぶっていました」と小林は言い、きたる次のステージへ「それは難しいことですが、高校では仲間との関係性にもしっかりと目を向けて、自分自身がチームをつなげられる存在になりたいです」と意気込んだ。
恵まれたサイズはまぎれもない武器であり、左利きという点を含めてセッターとしての魅力は満点だ。
「こうして海外遠征を通して世界を知れて、自分のプレーの幅が広がりました。自分の高さを活かしたプレーをもっともっと伸ばしていきたいですし、またこうした舞台を経験したいですね」
そう口にした彼女に投げかけてみる。将来の日本代表も夢に描いている?
「ここまで来たから目標は高くと思っているので…頑張ります」
照れくさそうにほほえむ。目に見えて成長を遂げている最中でも、そこはやっぱり自分にはとことん謙虚な、小林天音である。
