[写真]=須田康暉

 謙虚な姿勢は崩さず、それでも発する言葉の端々には熱が宿る。2022年に男子日本代表に初登録されてから、今回で4年目。ネーションズリーグも、パリ五輪予選も経験した。そのパリ五輪は本登録メンバーに入ることは叶わなかったものの、2028年のロサンゼルス大会に向けて始動した男子日本代表において、エバデダン ラリー(大阪ブルテオン)は力強く宣言した。6月5日のキックオフ会見の壇上にて。

「今年は責任と自覚を持って、日々全力で取り組みたいです」

 責任と自覚。それが今の彼をかたちづくっている。もっとも代表としての責任感は、初選出時から大切にしてきたものだ。

「初めて選ばれたときから、『これが日本代表かぁ』と実感しました。プレーはもちろん、行動一つをとってもそうです。誰かに見られているという責任を常々感じていますし、そこは変わりません」

 日本代表の一員として、日の丸を背負う。実にシンプルだ。そして、「もちろん」と口にしたようにパフォーマンスに関しても同じ。2022年に日本代表に初めて登録され、筑波大学を卒業して入団した大阪B(当時はパナソニックパンサーズ)でも1年目の2023-24シーズンからレギュラーに抜擢された。大学時代から大阪Bに入団するなど、経験自体はしていたとはいえ、初めて戦う国内トップカテゴリー。試合ではチームメートの西田有志や山内晶大らのサポートを受けつつ、一方で、同期の大塚達宣(ミラノ〔イタリア〕)もコートに立って堂々と活躍するなか、ぼそりとこちらに漏らしたことがあった。

「僕も日本代表なので」

 その言葉は、自覚の表れだった。

 以降もメキメキとレベルアップを遂げたラリーは、パリ五輪を控えた昨年度の代表では小野寺太志(サントリーサンバーズ大阪)、山内晶大、髙橋健太郎(ジェイテクトSTINGS愛知)らと並んで活動する。そうして2024-25 大同生命SVリーグではレギュラーシーズンベスト6に輝くと、アジアチャンピオンズリーグでも同じくドリームチームに選出された。そうした勲章を手に、ラリーは今年度の代表活動に際してはっきりと口にした。

「日本代表のミドルブロッカーとして4本の指に入っているので。そろそろナンバーワンを目指していこう、いかなければいけない、という年代になりましたから。日本代表でもミドルブロッカーの筆頭としてやらなきゃいけない、その自覚を持っています」

 決して大きなことを、声を大にして発するタイプではない。それでも“ナンバーワン”という単語がその口から出るまでになってきた。責任と自覚、さらにはそこに自信も宿っている。

「ベスト6に選ばれたことはほんとうにありがたかったです。自分のプレーが通用していることが数字としても表れていましたし、周りから評価された結果、いちばんになれたことは自信になりました。

 目指すはやっぱり世界でいちばんのミドルブロッカーなので。SVリーグ、アジアチャンピオンズリーグを戦って、そこに一歩ずつ近づけている実感はありました」

 世界ナンバーワンのミドルブロッカーとは「世界の誰もが認める」や「前衛にいるだけで対戦相手が嫌がる」、そんな存在だとラリーは言う。けれども、それは例えの一つ。本人の中でも、はっきりとこうだ、とは描けていない。なぜなら――

「日々成長するしかないな、と。ここまで、と限界を極めるのも好きではないですし、まだまだ成長過程に自分はある。どんどん成長して、自分が知らないような自分になることができればと思うんです」

 ここから3年後、ロサンゼルス五輪の舞台に立ったとき。そこには周囲も、ひいては本人でさえ想像していなかったエバデダン ラリーの姿があるに違いない。

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この記事を書いたのは

坂口功将

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