いよいよ12日に開幕を迎える2025バレーボール男子世界選手権(世界バレー)。出場国数が従来の24カ国から32カ国に増え、大会形式も少し変わった。
新フォーマットでの世界バレーの最初の王者はどの国になるのか。優勝候補たちを解説していく。
ブロック世界最強国

1.イタリアの特徴
イタリアは現在FIVB世界ランキングで2位につけており、ネーションズリーグ(VNL)2025で準優勝、世界バレーの前回大会王者でもある。
前回の世界バレーを優勝した選手がほとんど今も主力として現役だ。
イタリアはアタック、サーブ、ブロック、レシーブ、組織力のすべてが世界トップクラスのチームだ。
その中でも特にブロックは世界一。パリ五輪のスタメンは全員が身長200cm越え(リベロを除く)の試合もあり、まさに完全無欠のブロックだった。
世界バレー開幕前に行われた日本代表との壮行試合でも、日本のスパイクを全く通さず、綺麗なワンタッチをとってカウンターを決める展開が何度もあった。
世界最強のイタリアのブロックを振りきるには、複数のスパイカーにトスを回してブロックを分断することが必須だ。
2.イタリアの弱点
そんなイタリアの弱点だが、無くなってしまった。
日本がイタリアに勝利したVNL2022と2023では、フローターサーブのレセプションが弱点だったが、パリ五輪や先日の壮行試合ではフローターサーブで崩される場面がほとんど無かった。
今のイタリアは付け入る隙が全く無いチームに仕上がっている。
強いて弱点を挙げるとするならば、バレーボールが綺麗すぎることだ。日本リベロの山本智大は「イタリアのアタックは綺麗にブロックの脇を抜くからレシーブしやすい」とも語っていた。
しかし綺麗なバレーボールは再現性が高く、常に強いことにもつながる。
3.イタリアの注目選手

注目選手はアレッサンドロ・ミキエレット(OH/身長211cm/23歳)だ。
世界トップOHの1人で、VNLではベストOHを受賞したイタリア代表のエースだ。
バレーは努力でどうにもならない身長の高さと左利きが有利なスポーツ。身長211cmで左利き、さらに攻守万能でミスが少なく、まだ若く伸びしろもあるミキエレットは現代バレーの異能だ。
彼のアタックとサーブは、身長が高いのでその分しなりが大きくて球威があり、さらにサウスポーなので右利きとボールの回転が全く違うのでレシーブがしづらい。
またブロックもOHでは世界トップの実力で、高身長でブロックの上を抜かれないのはもちろんのことブロックアウトも防げる。
日本との壮行試合では、宮浦健人のブロックアウトを狙ったストレートを、ミケエレットは利き手の左手を内側に巻き込むブロックで、ボールを外側に逃がさずにコートの内側に叩き落としていた。
さらに彼はリベロ経験者でレシーブ力も高く、日本にサーブで狙われ続けてもほとんどレシーブが乱れなかった。
バレーボール史上最高の逸材と言えるミケエレットの活躍から目が離せない。