2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは東京グレートベアーズを紹介していく。
クラブヒストリー:2022年にFC東京からチーム譲受、ブランディング戦略にも注力
2022年4月、休部を発表していたFC東京からのチーム譲受が確定し「東京グレートベアーズ」が誕生した。
運営会社の『株式会社グレートベアーズ』は試合会場の演出に始まりユニフォームやグッズのデザイン、ホームページで使用する写真などを一新。既存のVリーグチームとは一線を画したブランディング戦略に力を入れ、着々とファンを増やす。そして2023年3月4日、有明コロシアムのホームゲームで8142人の入場者数を記録。V.LEAGUE MEN(2018-19シーズン以降)における観客動員数の新記録を樹立する。翌年も「1万人プロジェクト」と銘打った観客動員アップの企画を実施し、2024年3月3日、日本製鐵堺ブレイザーズ戦で8749人の入場者数を記録した。今後も新記録に挑戦し続けるつもりだ。
一方で動員のための強化、補強にも余念がない。
2022―23シーズン終了後、新監督にフィンランド出身でウルフドッグス名古屋のコーチも務めたカスパー・ヴオリネンの就任を発表する。同時に日本代表の元主将、柳田将洋と、2024年にパリオリンピック代表に選ばれることとなるベテランセッターの深津旭弘を獲得した。両名の補強により選手層が厚くなったチームは、FC東京時代も含めて最多となるシーズン17勝を挙げる。
ファイナル進出まであと一歩、手が届かなかった悔しさを糧に迎えるSVリーグとなるが、チームの核はやはり上記の柳田と深津だろう。両名の存在によってカスパー監督が目指すスピードのあるバレーボールが実現できるようになった。何より両名のベテラン選手が加入したことで、周囲の選手に与えた影響は大きかった。深津は「とにかく自分の素をさらけ出すことで受け入れてもらえるよう努めたい」と、自ら若い選手たちに声をかけ、ときには一番汗を流してチームに溶け込む努力を続けている。その姿勢は2年目となる今シーズンも変わらないはずだ。
このオフの動き:外国人選手の補強でOH陣のレギュラー争いが熾烈に
今シーズンの新戦力としては、ポーランド代表にも選ばれたことがあるオポジットのマチェイ・ムザイとポルトガル出身、ポーランドリーグでプレーしたアウトサイドヒッターのアレックス・フェレイラが加入。そして元日本代表で昨シーズンは韓国プロリーグでプレーした元パナソニック(現・大阪ブルテオン)の大竹壱青が移籍加入した。大竹はパナソニック時代、オポジットだったが東京ではミドルブロッカー登録。202cmの長身を生かした転向だが、そのプレーはすでにプレシーズンマッチなどで注目を集めている。昨シーズン、主に試合に出場していた小田嶋大貴や山田大悟、武藤鉄也にとっては刺激的な存在となりそうだ。
昨シーズン、内定選手としてチームに帯同して以降、柳田の対角に入り結果を残した後藤陸翔にとっては真価を問われるシーズンとなる。同じポジションに新外国籍選手が入り、ますますポジション争いは熾烈となる。しかし後藤が攻守に安定し、監督の要望に応えるプレーができることは昨シーズン、プレーで証明されている。レギュラー争いでは一歩、抜きんでているといえよう。
注目選手:古賀太一郎
注目してほしい選手は主将の古賀太一郎だ。FC東京時代からチームでは数少ないプロ契約選手としてプレーしてきた守備職人である。本格的なプロリーグとしてスタートするSVリーグでは、プレーのみならず精神的にもチームを牽引する存在となるだろう。プロ選手としての活動期間が長い分、誇りもある。チームのみならずリーグを牽引していく役割にもなれるプレーヤーだ。各チーム、新外国籍選手の補強に力を入れているが、東京は不動のリベロが今シーズンもチームを引っ張る。