[写真]=須田康暉 ※2026年1月11日撮影

 今夏のインターハイ・バレーボール男子は京都府で開催され、8月5日に初戦を迎える。

 優勝候補の一角は、大阪代表・清風高校だろう。今年1月に行われた春の高校バレーで準優勝したメンバーが多く残り、さらに多彩で緻密なバレーを追い求めてきた。

 今年3月に開催されたさくらバレー(全国私立高等学校バレーボール選手権大会)では、決勝で、春高で敗れていた東山高校を破り、優勝。6月に行われた大阪府のインターハイ予選では、他校を寄せ付けず本戦出場を決めた。

 しかしセッターの森田陸は、「よかったところは一つもなかった。自分たちのバレーができていない。これがインハイ本番だったら負けたり、決勝にも行けない可能性がある。このままじゃマズイ」と危機感をあらわにしていた。

「バックアタックも含めて全員が4枚で攻撃を仕掛けて、相手ブロック3枚に対して数的優位を作ろうとしているんですけど、全然できていなかった。今は1人1人の技術で点を取っているだけで、チームとして点を取ることができていない。自分自身もあまりいいトスを上げられなかったので申し訳ない。僕の選択でブロックを0枚にしたいのに、2枚になったり。バックアタックの練習はずっとしているんですけど、ラリーになった時にそこを選択できなかった。

 今は、相手がそこに上げるとわかっている中で上げてしまって、それを(西村)海司が決めてくれている。そうじゃなく、相手がクイックかパイプ攻撃かわからない状況でパイプを選択して、海司が決める、というのが理想なんです。全国私学(さくらバレー)では、結果的には勝てたんですけど、海司ばかりになっていた。そのバレーは僕らが目指しているバレーじゃない。海司はすごいんですけど、あくまで4枚のうちの1人なので」

 森田とチームの高い理想がうかがえた。

 その約1ヶ月後に行われた近畿大会では、攻撃のバリエーションが増え、見違えるように立体的なコンビバレーが展開されていた。ミドルブロッカーの田原璃晟と石川叶真が、後衛に回ってもライトやセンターから攻撃を仕掛け、しかもそのバックアタックが強烈で、重要な得点源となっていた。

 田原は以前から後衛でもコートに残って攻撃参加していたが、近畿大会では石川も、バックアタックで強烈なインパクトを残した。

「叶真が成長したことは本当にデカい」と山口誠監督は目を細めた。

「バックアタックも練習してきたので、今回試して、使えるなと。この時期にやるとみんなに見られるので、できれば秘密にしておきたかったけど(苦笑)。うちの真ん中(ミドルブロッカー)は、真ん中として使っていないので。レシーブも、サーブも一つの武器。どうしてもミドルが後ろに行くと穴になるケースが多いけど、6分の2はミドルがサーブを打つわけだから、そこを攻撃の起点に切り替えられれば。あの子達が下級生の頃からイメージしながらやってきましたが、叶真の成長が大きいですね」

 その石川は、ブロックでも新境地を開こうとしていた。6月に学校を訪れて指導してくれたOBの西川馨太郎(大阪ブルテオン)の影響だという。インターハイ予選の際、石川はこう話していた。

「ブロックは自分のゾーンをしっかり閉めて、あとはレシーバーに拾わせる、というのを言われて意識するようになったら、今大会は(リベロの澤田)侍弦が結構拾ってくれたので、前後の関係はできてきたのかなと。僕はブロックの出し方が悪いと言われていて(苦笑)。でもまっすぐ出すようになったら綺麗にワンタッチを取れるようになったし、レシーバーからも見やすいと言われるようになりました」

 山口監督はエース・西村の成長にも触れた。

「今回U18アジア選手権に行って、そこでの経験がプレーの随所に表れている。例えば、ブロックで3枚行く時の寄せ方であったり、サーブレシーブやつなぐ意識というところは、世界の大きい選手と戦う中で、小さい選手がサボらずちゃんとやり続けることの大事さを学んだんでしょうね。すごくコート上に表れています」

 西村は、7月12〜18日に開催されたU18アジア選手権で日本代表の準優勝に貢献し、ベストアウトサイドヒッターに選出された。

「自分は(アジア選手権では)一番ちっちゃい身長(183cm)でレフト(アウトサイド)をやっていたので、スパイクだけじゃ通用しない。サーブレシーブの堅い選手になろうと、頑張ってました。相手の選手はデカいし、無理やり(力任せに)打ってくるサーブが入っちゃったりするんで、それを上げるのは結構しんどかったんですけど、耐えました(苦笑)。どうしてもスパイクみたいな華やかなプレーが注目されるんですけど、地味なプレーというか、そういうのが大事なプレーだと思うので、大切にしていきたい。元々気づいていたけど、世界で戦うためにはもっと必要やなと感じました」

 ポイントゲッターであることに変わりはないが、守備やつなぎ役としての存在感も増し、コート内をコントロールしている。

 インターハイに向けては、「優勝したい。昨年は駿台学園に負けて悔しい思いをしたので。今年はインターハイも、国スポも、春高も、全部勝つつもりでいます」と力強く語る。

 選手個々の成長と、攻守にわたる組織力のレベルアップ。進化を続ける清風高がインターハイでどんな姿を見せるのか、注目だ。

この記事を書いたのは

米虫紀子

米虫紀子 の記事をもっと見る