[写真]=山田高央

現代バレーボールにおいて、攻撃の要でありながらサーブレシーブやディグといった守備の要も兼ねるポジション、アウトサイドヒッター。世界最高峰のリーグや国際大会では、各国のトッププレイヤーたちが活躍している。

「現代において強いアウトサイドヒッターは誰なのか?」

本記事では、2026年現在の男子バレーボール界において、世界トップクラスのアウトサイドヒッター5人を紹介する。

  • ウィルフレド・レオン(ポーランド代表)
  • アレッサンドロ・ミキエレット(イタリア代表)
  • トーリー・デファルコ(アメリカ代表)
  • オレグ・プロトニツキー(ウクライナ代表)
  • 石川 祐希(日本代表)

ウィルフレド・レオン|最高到達点385cmの脅威の高さ

[写真]=Volleyball World
  • 国籍:ポーランド代表
  • 身長:201cm
  • 最高到達点:385cm
  • 所属クラブ:ボグダンカ LUK ルブリン(ポーランド)
  • 実績:2024年パリ五輪銀メダル、2023年欧州選手権金メダル・MVP

史上最強のサーバーでありアタッカーと称されるのが、ポーランド代表のウィルフレド・レオンだ。最高到達点385cmという規格外の高さからのスパイクは、ブロッカーの上から打ち下ろされる。

レオンの最大の強みは、たった1人で試合の流れを得るサーブとスパイク力だ。レオンが打つジャンプサーブは、なんと最高時速138km/hを記録した。相手リベロの正面に入られても弾き飛ばすほどの威力である。

スパイクにおいては、打点が高いだけでなく、空中でのタメ(滞空力)が長いため、相手ブロックの手に当てるブロックアウトと空いたコースへの強打を選択できる。また相手ブロックが下りがけのタイミングで、上からスパイクを打つこともできるのだ。

二段トスが上がり相手ブロックが揃った場面でも、個人の身体能力だけで得点に結びつける破壊力は間違いなく世界一だ。

アレッサンドロ・ミキエレット|211cmのサウスポー

[写真]=Volleyball World
  • 国籍:イタリア代表
  • 身長:211cm
  • 最高到達点:375cm
  • 所属クラブ:イタス・トレンティーノ(イタリア)
  • 実績:2022年世界選手権金メダル、2024年欧州CL優勝・MVP

イタリア代表の若きエース、アレッサンドロ・ミキエレットは、211cmのサウスポーながら、オポジットではなくアウトサイドヒッターとして攻守で活躍を見せる選手である。

ミキエレットの魅力は、211cmのサウスポーでありながら、攻撃力だけでなく守備力を備えていることだ。サーブレシーブは、リベロにも劣らない成功率を誇る。相手の強力なジャンプサーブに対しても、膝を柔軟に使ってセッターへ返球する柔軟さも併せもつのだ。

攻撃面では、左利き独特のカットインコースや、高い打点からの鋭いクロススパイクが脅威だ。相手ブロックからはフォームで打球方向が読みにくく、ストレートとインナーを打ち分ける器用さも備えている。イタリアが世界選手権や欧州選手権を制した背景には、彼の安定した守備と高い決定力がある。

211cmの高さとサウスポーという世界でも稀なプレイヤーで、技術もあわせ持つミキエレットは、世界最高峰のアウトサイドヒッターの1人だ。

トーリー・デファルコ|世界屈指のテクニシャン

[写真]=坂口功将
  • 代表:アメリカ代表
  • 身長:198cm
  • 最高到達点:340cm
  • 所属クラブ:ジェイテクトSTINGS愛知(日本)
  • 実績:2024年パリ五輪銅メダル、VNL2022・2023ベストアウトサイドヒッター

アメリカ代表の攻守の軸として長年プレイしている、トーリー・デファルコだ。日本リーグのSV.LEAGUE・ジェイテクトSTINGS愛知でもプレーしており、世界中のファンを熱狂させている。

デファルコの特徴は、攻撃と守備の両方でチームに貢献できる技術だ。助走スピードに乗った力強いアタックと、中央からの超高速パイプ攻撃はチームに勢いをもたらす。テンポの速い攻撃で、相手のブロックが完成する前に素早く助走に入り、高速トスを叩き込む。

また、感情を全面に出す情熱的なプレーも特徴的で、接戦の終盤になればなるほど集中力を高める。相手サーブで狙われても動じず、自らサーブレシーブを上げた後にそのままバックアタックへ入る連動性の高さは、オールラウンダーを象徴するプレーと言える。

まさに「なんでもできる」を体現したような選手だ。

オレグ・プロトニツキー|サウスポー&守備職人

[写真]= Getty Images
  • 国籍 :ウクライナ代表
  • 身長:195cm
  • 最高到達点:345cm
  • 所属クラブ:ペルージャ(イタリア)
  • 実績:2023年世界クラブ選手権MVP、セリエA優勝

世界最高峰クラブのペルージャの中心で活躍するのが、ウクライナ代表主将のオレグ・プロトニツキーだ。195cmで特段高いわけではないが、サウスポーかつレシーブやスパイクの技術を持っている。

プロトニツキーの武器は、ジャンプサーブだ。サウスポーから打たれるサーブは、右利きとは逆回転で曲がって落ちてくる。見慣れないため、レシーブされにくい。またエンドライン際ギリギリに落ちるドライブサーブと、前方に落ちる無回転サーブを自在に打ち分け、ノータッチエースを奪う。

ディフェンスでは、相手の強力なスパイクに対して瞬時に位置取りを変えて、ディグを上げるプレーが光る。攻撃ではサウスポーが武器になる。

アウトサイドヒッターは右利きが多いなか、サウスポーだと対応が難しい。右利きから打たれるときと、肩ひとつ分の打つ位置とボールの回転が変わるからだ。ブロックアウトやコース打ちの技術を持っているため、さらに止められない選手である。

石川 祐希|日本が誇るオールラウンダー

[写真]=山田高央
  • 国籍:日本代表
  • 身長:192cm
  • 最高到達点:351cm
  • 所属クラブ:ジラート・バンク(トルコ)
  • 実績:2023年VNL銅メダル(ベストOH)、2024年VNL銀メダル

日本代表キャプテンとして世界大会でのメダル獲得を果たし、セリエAの超強豪ペルージャでも活躍した石川祐希。今季からトルコリーグのジラート・バンクに移籍するが、世界トップアタッカーとして評価を得ている選手だ。

石川の強みは、ハイセット(二段トス)の処理能力だ。高く上がった二段トスに対しては、相手ブロックも万全の状態で構えている。それでも石川は、コートの角や選手の間を狙ったり、ブロックアウトやブロックの横を抜くインナースパイク、空中でタメを作ってからのフェイントやリバウンドなど、瞬時に判断して得点に繋げる。

さらに日本代表では、サーブレシーブの中心を担う。リベロ以外にサーブを打つのが主流で、アウトサイドヒッターはターゲットになりやすい。それでも石川は、サーブレシーブをセッターに返して、攻撃の起点となっているのだ。

攻撃のバリエーションや安定した守備力、会場を沸かせるフェイントセットは石川の代名詞といえるだろう。スパイク・サーブ・レシーブ・ブロック全てのプレーがトップクラスの石川は、世界屈指のオールラウンダーだ。

番外編|レジェンドアウトサイドヒッター

番外編として、圧倒的な存在感と巧みなプレーでファンを魅了し続けてきたレジェンドを紹介する。

  • ミハウ・クビアク
  • イアルバン・ヌガペト

ミハウ・クビアク

国籍:ポーランド代表

  • 身長:192cm
  • 最高到達点:347cm 
  • 所属クラブ:上海 Bright(中国)
  • 実績:2014年・2018年世界選手権金メダル

ポーランド代表のキャプテンとして世界選手権2連覇を達成し、日本のパナソニックパンサーズでも長年エースとして君臨したのがミハウ・クビアクだ。

クビアクの凄さは、相手ブロックの手を利用したブロックアウトの精度と守備力だ。どんなに体勢が崩れても相手ブロッカーの指先を見極めてタッチを取り、相手守備の逆を突く。味方を鼓舞するリーダーシップと情熱は、クビアクを象徴している。

イアルバン・ヌガペト

[写真]=Getty Images
  • 国籍:フランス代表 
  • 身長:194cm
  • 最高到達点:358cm 
  • 所属クラブ:トゥール VB(フランス)
  • 実績:2020年東京五輪金メダル・MVP、2024年パリ五輪金メダル・MVP

東京五輪とパリ五輪でフランス代表を金メダル連覇へと導き、2大会連続MVPに輝いたのがイアルバン・ヌガペトだ。稀に見ない独創的なプレーで世界中を魅了し続けている。

背中を相手に向けたフェイクアタックや、バックアタックのモーションからのフェイントセットは、ヌガペトが第一人者である。大舞台の勝負所では得点を決めきる。記録にも記憶にも残る、バレー界のファンタジスタだ。

まとめ|プレースタイルの異なる世界最強のアウトサイドヒッター

世界最高峰のアウトサイドヒッター5人は、それぞれ全く異なる強みとプレースタイルを持っている。

  • 最高到達点385cmの規格外の高さを持つレオン
  • 211cmの高さでサウスポーのミキエレット
  • 高速パイプで勢いをもたらすテクニシャンのデファルコ
  • サウスポーで攻撃・守備の両方で活躍するプロトニツキー
  • 二段トスを筆頭にすべてのプレーでトップクラスの石川祐希

アウトサイドヒッターは、ただスパイクを打つだけでなく、守備の安定感や苦しい場面での得点力が問われるポジションだ。彼ら5人のプレーに注目することで、バレーボールの試合観戦がより深く、楽しくなるだろう。

この記事を書いたのは

重村暁希

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