大同生命SV.LEAGUE WOMEN(SVリーグ女子)の新シーズンが開幕した。リーグ史上初の海外開催となったがタイ・バンコクのフアマーク・インドアスタジアムでのSAGA久光スプリングスとアリーザ愛知の第1節GAME1は、3−1でSAGA久光が勝利した。全セットで競った展開になり、会場に集まった1909人からは大声援や絶叫が起こる面白い雰囲気となった。
この試合で特に注目だったのが、外国籍のオンザコートルールの改正による影響。同時起用が3名(アジア特別枠も含めると4名)に拡大したことがSVリーグでの試合の進め方がどうなるか。一種の指標ともなる開幕戦で、A愛知がさっそく最大限生かした一方で、SAGA久光はコート上が全て日本人選手という状況も一時的にあるなど、両チーム監督の采配の違いが見えた。
A愛知はコート上6選手中4選手が外国籍
A愛知の酒井監督は前日9日の会見で、新加入のヒネイリー・マルティネスがチームに合流して10日ほどしか経ってないことを明かしていた。開幕戦ではマルティネスはベンチスタートの可能性が高いと思われたが、第1セットからスタメンに名を連ねた。A愛知はオポジット(OP)にリンジー・ラディンズ、アウトサイドヒッター(OH)にラウラ・クンズラー、ミドルブロッカー(MB)にマルティネス、そしてセッター(S)はヌットサラ・トムコムがコート上に同時に立った。
一方のSAGA久光は、そもそも外国籍選手がマルタ・ラヴィンスカ(OP)、アナスタシア・スタルナヤ(OH)に加えてアジア枠のハッタヤ・バムルンスック(MB)がいるが、ハッタヤはこの試合では登録されていなかった。
試合自体は3−1でSAGA久光の勝利だったがどのセットも接戦となった。A愛知の酒井監督が191センチのリンジー、189センチのラウラ、195センチのヒネイリーを一人置きに配置するローテーションを全セットで選んだことで、常に前衛に190センチ前後の選手が2人いる状態となり、外国籍選手たちの持つ高さとパワーでSAGA久光を苦しめた。
SAGA久光はコート上全員日本人選手の状況も
逆にSAGA久光はコート上の選手が全員日本人というシーンが何度かあった。特に第1セット16−20の場面、サーブを打ったアナスタシアが北窓絢音と交代してレシーブを固めると、その前に2枚替えでマルタが籾井あきと交代していたこともあって、コート上が日本人選手のみとなった。すると、ここからSAGA久光が連続得点して20−20と一気に追いついた。A愛知はヌットサラを含めると4選手がコート上にいたこともあって、その非対称性の中での連続ブレイクがよりきわだった。
SAGA久光はアナスタシアがまだ本領を発揮していないこともあってか、第4セットはコート上の外国籍選手はマルタのみに。試合全体を通じて、SAGA久光は日本人選手たちの活躍が目立った試合となった。
A愛知の酒井監督は、外国籍4選手が同時起用した手応えについて問うと「手応えはありました。これから何をしていかなきゃいけないかも見えてきた試合だった。もう少し時間をかけて精度を高めていけば、必ず良いチームになると確信できた」と話した。
SAGA久光の中田監督は、相手がさっそく実行してきたことによるやりづらさについて「4人が同時に入ってくるとは想像していた。予想通りの中でもやはりミドルの(ヒネイリー・)マルティネス選手に対して、1セット目でしたか、連続失点を取られたところとか、(相手のブロッカーが高いことによる)サイドアウトが上手くとれていなかった」とやりにくさを振り返った。
ただ、「2セット目以降に修正をかけながら、最初から相手がどうであれ2枚替えや誰を途中からピンサで入れるかを考えていたので(コート上全て日本人選手になったのは)計画通り」とし、「昨シーズンも外国籍選手を結局、最後の決勝ではステフ(昨季所属のステファニー・サムディ)だけという状態で戦った。外国人選手が何人入るとか、入らなかったらとかは全然考えていなくて、一人一人がやはり戦力だと夏場から強化し続けてきているので、そういうケースは(これからも)普通にあると思っています」とオンザコートフリーをそこまで気にしていなかった。
両チームの選手たちはどう見た?
相手のマルティネスに対するブロックワンタッチやライトからのスパイクで大きく勝利に貢献したSAGA久光の平山詩嫣(MB)は「うちのミドル2人を筆頭に、外国人とか関係無く、うちらで今いるメンバーでやろうとはミドル全員で話している。ハッタヤ選手もまだコンディションをまだ上げている最中ですし、そこに絶対に頼らないというのがミドルの中であって、(中田)久美さんもずっと『今いる人達が土台だから』と私たちに言い聞かせてくれていた」と自信を見せた。
平山と対角を組んだ荒木彩花は、自チームの外国籍選手が他より少ないことについて聞かれ「考えたことはなかった。たしかに難しいシーンはあったけど、だからといって負けることはないと思っていた。日本人選手が多い分コミュニケーションも円滑に進んでいくところでは、日本人が多い方が良いというメリットがある。考えてみたらすごいハンデかなと思うけど、終わってみたら気にしなかった」と笑った。
A愛知の笠井季璃(OH)は4セットフル出場。外国籍選手が多いコートの中で存在感を発揮していた。今回のルール変更について問うと、笠井は「外国人選手が3人入るとオフェンス力がかなり上がるが、日本人選手はやっぱりまずはディフェンス。レセプション、ディグ、そしてハイセットという細かい部分、1点には繋がらないけど間接的に1点に持っていけるような細かい丁寧なプレーをまずしていかないといけない」とした。
とはいえ、ディフェンスだけでもダメと言い切る。笠井は「外国人選手に必ずトスが集まるとは思うが、たまに上がってくるトスを必ず打ち切るのも必要。日本人選手だからディフェンスだけに徹するのではなく、しっかり日本人選手でも最後のフィニッシュが決められるんだぞという強気な1点を自分が取っていきたい」と生き残るすべを冷静に見ていた。
日本代表の北窓は、開幕戦では途中交代で出場し、第4セットではアナスタシアにかわってセットスタートからコートに立った。外国籍選手出場枠増についての感想を問うと、強い思いを口にした。
「外国籍選手が増えたことで日本のリーグではなくなってきたような感じがあると思うんですが、そこで自分がスタートを勝ち取ることで、今後のバレー人生というか自信にもつながるし、もっと経験値があげられると思う。そこは外国人選手にも負けない気持ちで、私がいくんだと。外国人選手だけに頼りたくないというのが私にはあって、今日の試合の最後ではマルタ選手に(攻撃が)たくされていたけど、本当は私たち日本人が決めるんだって思いはあります」
A愛知は外国籍選手枠の増加したことによるメリットを見せ、SAGA久光は日本人選手が多いことで出るメリットを示した。今回のルール変更によって、男女問わず各チームがどんなやり方を見せるのか、今季のSVリーグを楽しむ視点のひとつになるだろう。




