7月27日に開幕するパリ2024オリンピック(パリ五輪)でメダル獲得を目指すバレーボール女子日本代表。ネーションズリーグでは史上初の銀メダルを獲得し、五輪でのメダル獲得にも期待が高まる女子日本代表に選ばれたメンバー12名と交替選手の1名を紹介していく。
◼︎岩崎こよみ
経験豊富な司令塔は自身初の五輪へ
競技人生を長く過ごせる選手になりたい。そんな思いで名門・下北沢高校(東京)を卒業後、2008/09シーズンからVリーグでプレーし、クラブチームでのキャリアは16年に及ぶ岩崎こよみ。その中には海外挑戦や出産もある。
豊富な経験を活かし、昨年のアジア競技大会でチームを牽引。今年はパリ五輪へ向けて強化を進めるチームで司令塔を託され、アタッカー陣の能力を最大限に引き出すトスと、アクセントになる効果的なサーブで存在感を印象づけた。
◼︎林 琴奈
玄人好みのプレーでチームを支える
派手さはなくとも堅実だ。安定感抜群のレシーブで攻撃の起点となり、巧みなアタックで着実に得点する林琴奈。中学、高校で日本一、Vリーグ優勝という輝かしいキャリアを重ね、前回の東京2020五輪に出場。以降はセッター対角のポジションを不動のものとし、いぶし銀の活躍を披露する。
2023-24 Vリーグの終盤に負った怪我の影響もあってか、代表活動では精彩を欠く姿も見られた。それでも自らの務めをしっかりと果たす林は、やはりチームに欠かせない。
◼︎古賀紗理那
日本女子バレー界を牽引。最後の戦いへ
パリ五輪に向けて始動した女子日本代表において、かつてのエース木村沙織の背番号「3」とキャプテンマークをまとった古賀紗理那。この3年間、チームの大黒柱としてコートに立ち続けてきた。
中学生の頃に全国区となり、高校時代に日本代表へ、Vリーグでは3度の優勝と最高殊勲選手賞受賞、とトップランナーとして歩んできたキャリアも、今回のパリ五輪が最後。この大会を持って現役引退を表明している。集大成となる舞台にすべてを懸ける。
◼︎石川真佑
日本のエース、その進化は止まらない!!
“日本を代表するバレーボール選手・石川祐希の妹”、そんな枕詞はもはや無用だ。石川真佑、女子日本代表のエースである。幼少期から才能を見初められ、中学・高校で日本一を経験。U20日本代表では世界一も果たした。
持ち味はパワフルかつコース幅の広いスパイク。加えて、強烈かつ効果的なサーブや高いブロックを攻略する器用さは、イタリア・セリエAで過ごした2023/24シーズンを経て磨きがかかった。自身2度目の五輪は、進化した自分をぶつける。
◼︎関菜々巳
チーム随一の“頑張り屋”は常に準備する
アンダーエイジカテゴリー日本代表を経験した高校時代から、Vリーグでも入団直後から司令塔を務めるなど評価されてきた関菜々巳。積極的にミドルブロッカーを絡めるトスワークが特徴だ。
不器用なタイプなのは自他ともに認めるところだが、その分、人一倍にハードワークする“頑張り屋”。2022年から日本代表の攻撃を操るべく、気を吐き続けた。今年の代表活動が始まってからは岩崎こよみの控えに回るものの、戦闘体制は崩さない。
◼︎小島満菜美
小さな体に、大きな存在感
味方の攻撃時も守備の局面も、そしてタイムアウト中やセット間のベンチでも。小島満菜美は常に声を張り上げて、味方の動きをコントロールする。守備職人であるリベロに求められる、もう一つの役割だ。
ストイック気質で、元から強みであるディグに加え、日本代表活動を通してサーブレシーブもレベルアップ。今年のネーションズリーグではベストリベロに選出された。身長158cmは今回のメンバーで最小だが、その存在感はとてつもなく大きい。
◼︎井上愛里沙
ガッツあふれるプレーでエネルギーをもたらす
2021-22 Vリーグで当時の日本人選手シーズン最多得点記録をマークするなど、持ち前の攻撃力をキャリアの中で発揮してきた。東京2020五輪の落選を機に一度は現役引退も考えたが、眞鍋政義監督のラブコールを受け、パリ五輪へ歩を進める日本代表の一角へ。2022/23シーズンには憧れていた海外リーグ挑戦も実現し、心身ともに充実しオリンピックイヤーを迎える。
攻撃面に加え、体を投げ打ってボールをつなぐハッスルプレーを繰り出し、チームに活力を与える。
◼︎山田二千華
対ブラジルの強さをパリの舞台でも
パリ五輪参加メンバーの中でも、前回の東京2002大会を経験した4名のうちの一人が山田二千華。ブロック力に定評があり、その真価を特に発揮するのはブラジル戦だろう。2022年世界選手権やパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023ではブロックシャットを連発。パリ五輪ではプール戦で激闘することから、山田のプレーに期待がかかる。
と同時に、効果的なサーブで相手を崩す場面も多く見られる。前衛でも後衛でも高い貢献度を示す、チームの屋台骨だ。
◼︎福留慧美
守備の要として世界の強打を拾い上げる
2022年からの新しいオリンピックサイクルで日本代表に抜擢された福留慧美。昨年はいったん代表活動を外れるも、パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023で戻ってくると、存分に力を発揮。今年は小島満菜美と併用されるなか、ディグリベロを務めパリ五輪のメンバー入りを果たした。
強みは、抜群の反応でボールを拾い上げるレシーブ力。と同時に、味方へ的確に指示を送り、ブロックとレシーブの関係性を構築する。世界の強打に対して、守備で真っ向勝負!!
◼︎宮部藍梨
あらゆる場面で輝くオールラウンダー
現役高校生ながら2015年にシニア日本代表に登録されるなど将来を有望視されてきた宮部藍梨。高校を卒業後はアメリカに渡り、全米大学選手権でプレーするなど経験を積み、再び日の丸のステージへ帰ってきた。
キャリアの大半をサイドアタッカーでプレーしてきたが、眞鍋政義監督はミドルブロッカーとして抜擢。持ち前の高さは攻守で活かされ、また効果的なサーブや丁寧なパス、体を張ったレシーブなどオールラウンドな立ち回りでチームを支える。
◼︎荒木彩花
闘志全開のパワフルミドルブロッカー
恵まれた体格に多くの期待が注がれてきた荒木彩花は、アンダーエイジカテゴリー日本代表から着々と階段を上がってきた。2022-23 Vリーグのスパイク賞とブロック賞の個人二冠を引っ提げ2023年に日本代表に初登録。コート上では闘志をむき出しにしてプレーする。
昨年は怪我のため代表活動をまっとうできなかったが、今年のネーションズリーグでカムバック。勝負どころで決めるブロックとクイックは、やはり日本トップクラス、と見るものをうならせる。
◼︎和田由紀子
クールな振る舞いに秘められた闘争心
2023年度日本代表で初めて登録されると、キラ星のごとく輝きを放った和田由紀子。国際大会デビューとなった同年のネーションズリーグでは一試合30点越えのパフォーマンスを披露し、強烈なインパクトを残した。冷静沈着に、かつキレのあるサーブとスパイクで得点を奪い、チームのボルテージを一気に高める。
パリ五輪での役割はサーバーか、二枚替えでの投入か。状況次第では先発起用だって。いずれにせよゲームチェンジャーになりえる存在だ。
◼︎山岸あかね
“13番目の戦士”は献身的なベテランリベロ
所属先ではキャプテンを務める山岸あかねの、経験に裏打ちされたパフォーマンスとリーダーシップは言うまでもない。
今回のパリ五輪を戦う“13番目”に選ばれたのは、交代選手という役割に加え、「チームが目標を達成するために不可欠な力を持っている」(眞鍋政義監督)からだ。ベテランらしく仲間に寄り添い、献身的な姿勢でチームを支える。そんな山岸の存在こそが、パリ五輪でのメダル獲得を描いてきた日本代表のラストピースなのだ。