「2024-25 大同生命SVリーグ」を戦う女子のPFUブルーキャッツ石川かほくは今週末の2月8日(土)〜9日(日)にホームの「とり野菜みそBLUECATS ARENA」(石川)で大阪マーヴェラスを迎え撃つ。レギュラーシーズンでは今季初対戦だが、昨年末の令和6年度皇后杯全日本バレーボール選手権大会では準々決勝でぶつかりあい、そこでは激しい戦いを繰り広げた。その試合でインパクトを残したのがルーキーの上村杏菜である。
セットカウントは3-1で大阪MVの勝利もスコアを見れば25-19、25-20、21-25、32-30と、特に第4セットは最後まで手に汗をにぎる攻防となった皇后杯の準々決勝。試合後、上村は「痛い!!」と嘆きながらシューズを脱ぐと、涙目を浮かべた。
「見てください、これ!! 足の裏の皮がむけてしまっている。レシーブで横に動いていたからですかね!?」
ソックスに滲むほどの出血が見られる。確かに、大阪MVの多方面から繰り出される攻撃に対して、上村は後衛で懸命にディグを上げていた。聞けば、プレー中はいっさい痛みを感じていなかったそう。まさにアドレナリンが出ていたわけだ。
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それほどまでのガッツを見せた理由は。持ち前の負けん気の強さもあるだろう。「昨日は学生時代の同期や家族も見にきてくれていた」ことで気持ちがたかぶったのもそう。そして、もう一つ。実は相手コートに、母校の金蘭会中学校・高校(大阪)の先輩がいたのである。
その顔ぶれはアウトサイドヒッターの林琴奈と西川有喜、リベロの西崎愛菜、そして途中出場で投入された宮部愛芽世。時間帯によっては4名の先輩たちが、ネットをはさんで目の前に並んだ。
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そのなかでも上村のテンションが上がった相手は宮部。ポジションは同じアウトサイドヒッターで、学年こそ被っていないが中学・高校と同じキャリアを進み、ともにチームではエースを務めた。ハーフという共通点もあり、学生時代から上村は常に憧れの選手に宮部の名前を上げていたほどだ。
「練習試合もJT(当時/大阪MV)とやらせていただく機会はなくて、(宮部)愛芽世さんと対戦したことがなかったんです。しっかりとゲームで相手になってもらうのは初めてだったので、とてもうれしかったです」
念願の対戦が実現した皇后杯の準々決勝、まずは二枚替えのオポジットとしてコートに姿を現した宮部の姿に、上村は「きた、きた、きた!!」と胸を踊らせた。ポジションでいえば、上村がレフト側で宮部がライト側、とマッチアップする構図になる。
「とても上手な選手ですから。ここで自分のやりたいことをやりきれたらいいな、と思っていました」と上村。試合中は、宮部のブロックを攻略し、アタックを決めきるシーンもあった。
その場面を振り返ってもらうと、上村は「まぁ〜」と照れ笑い。得意げになってもいいものだが、そこは謙虚に「逆にやられなくてよかったです」とほほえむだけに抑えていた。
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そんな特別な時間が流れたこの試合で、上村の豪打は強烈だった。金蘭会中高時代から、またアンダーエイジカテゴリー日本代表で参加した国際大会でも猛威を振るったスパイクは、そのパワフルさだけでいえばリーグ屈指と言えるだろう。
とはいえ、ルーキーである。加えてPFU自体、キューバにルーツを持つバルデス・メリーサやSVリーグオールスターゲームMVPの川添美優、さらには大熊紀妙や川﨑鈴奈ら才能豊かなエースアタッカーがそろっているため、シーズン序盤から出場機会をつかむことは難しく、「試合をフルでプレーしたのは皇后杯が久しぶりでした」と上村。その現実とは向き合いながら、「一試合一試合、成長しながら過ごしていきたいです」と語る。
皇后杯においても大会序盤は「縮こまってしまった」と明かすようにブロックシャットを浴びたが、先輩たちから「もっともっと伸び伸びやっていいよ」という言葉を受けて、大阪MV戦での活躍につなげた。以降も、コートに立てば高いアタック決定率を残すなど、エースの片鱗はうかがえる。
さて、大阪MVとの対戦機会がやってくる。再び先輩たちが立ちはだかり、憧れの存在とマッチアップする場面だってあるかもしれない。
「今日は負けてしまったので。リーグで当たったときにはもっともっと成長して、リベンジしたいと思います」
皇后杯で口にした意気込みを闘志に変えて、いざ――。
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