SVリーグは2026-2027シーズンの女子開幕戦をタイ・バンコクで10月10日、11日と開催する。前日の9日、大河正明チェアマンと久保田剛業務執行理事が「SVL国際戦略に関するラウンドテーブル」をメディア向けに開き、今回のタイでの開幕戦の狙いやSVリーグとしての中長期戦略について話した。
バレーボールはアジアでのポテンシャルがサッカーやバスケ以上
なぜ今回、タイでのリーグ開幕戦とする動きになったのか。その背景について久保田氏はこう説明する。
「私自身、SVリーグのダイレクターであるのと同時に大阪ブルテオンの役員をしていて、過去3年間、男子のチームですがプレシーズンマッチをタイのバンコクで行ってきた。そのきっかけがフィリピンやタイでのネーションズリーグであったりで、タイの皆さんが熱狂する姿を何度か見て、それをナショナルチームだけでなくクラブチームでも実現かできないかと考えた。タイの皆さんはバレーボールをすごく応援しているのをこの3年間でよく見てきた。日本のクオリティの高いSVリーグをタイの皆さんにも楽しんでもらえるんじゃないかと」
そして他競技と比較してバレーボールだからこそのチャンスをアジアで感じている。
「バレーボールはサッカーやバスケと比べるとプロ化、プロリーグの規模が小さい。しかし、バレーボールはアジアの中でポテンシャルがある。タイやアジアの皆さんともっと盛り上げられる。我々はSVリーグは世界最高のリーグを目指している。バスケでいえばNBA、サッカーでいえばイングランド・プレミアリーグの様な、そういったリーグにしていきたい。タイで開幕をすることはチャレンジングではあるが、我々にとっては意義深いこと」
今回初めての開催でマーケティングの面などはまだまだこれから。
「例えばTVA(タイバレーボール協会)のSNSフォロワーは数十万いるし、間違いなくバレーボールに関心ある人は多くいる。そういった方々にちゃんと届いているかを見ていかないといけない。今回の開幕戦に来て頂いた方の分析をしていく。これを1回で終わらせるつもりはない。次にしっかりつなげていきたい。来年1月には男子の試合があるので、いかせることがあったら対策していきたい。有力な方法として考えているのが日系企業がタイにはたくさんあるので、そちらを通じてローカルの皆さんにしっかり伝えていく方法もあるのかなと思っている」
3季目で海外での開幕戦実現に持っていった理由
SVリーグは始まってから今季まだ3季目と若いリーグ。Jリーグ、Bリーグと日本の主要リーグはいずれもアジアのマーケットに対する関心は高く、Jリーグは10年以上に渡って、特に東南アジアにアプローチし続けているし、Bリーグも同じくこの3、4年、積極的に東南アジアでの活動を本格化させている。
それでも、いずれも海外での公式戦の開催は実現していない。唯一、卓球のTリーグが今年7月に台湾でリーグの開幕戦を男女ともに行い、5000人以上集めてリーグ記録を更新させている。Tリーグもリーグが立ち上がったのは2018年で、9季目で初の海外での開幕戦だった。それだけにSVリーグ3季目での海外での開幕戦実施は早く思える。
その理由として、大河チェアマンはバレーボールがアジアのマーケットにおける強さ、日本の世界における存在感が大きいという。
「まず、タイ、そしてアジアにおいて、バレーボールを見て楽しむ人が、バスケットに比べてたくさんいる。日本のバレーボールは世界的に強豪で、これはバスケットやサッカーの日本代表に比べても強豪だと思います。サッカーやバスケに比べても、アジアで公式戦を行う資格があると思います。日本のバレーボールの選手は昔も今も、たくさんの選手がタイやアジアで有名なことも、タイで開幕戦を行おうと思った理由です」
そして、コンテンツとしての強さが日本国内の他リーグよりもあるとする。
「ASEANにおいてはJリーグやBリーグより僕たちが先頭を切って走っている姿しか考えていない。JリーグやBリーグはローカルコンテンツや地域密着を大きく掲げている。私たちSVリーグも地域密着をかかげているが、ナショナルコンテンツでありグローバルコンテンツを目指していることが大きな違い」
SVリーグの国際戦略とは
現在SVリーグが現在考えている国際戦略は2つあるという。
「1つは私たちのバレーボールを強化する、SVリーグのブランディングを向上させる。その観点でいうと、ヨーロッパの強豪のリーグと提携を結んでいこうと考えている。今年4月にイタリアの男子セリアAと包括的な連携を結びました。狙いは3つ。ユース育成世代の交流、指導者の交流、トップチームの交流。契約を締結しました。2つめはASEANにおけるマーケティング戦略。タイの皆さんはイングランドプレミアリーグを多く視聴している。日本との時差が2時間で世界的なプレーヤーが集まるSVリーグをタイの皆さんにも是非見てもらいたい。また、今回は大雨で中止になったが、クリニックなどを通じて国際親善交流を行いたいと考えている」(大河チェアマン)
さらにはSVリーグだけでなく、今季から新設の下部リーグ、SVグロースリーグの活用する。
「SVリーグとしては(海外の公式戦開催は)インドネシアであったりフィリピンであったり台湾であったりとチャレンジしていきたい。もうひとつは新しく作った2部リーグのSVグロースリーグでは次のシーズン(2027-28シーズン)からそういったASEANの外国人選手はフリー(外国籍選手扱いにしない)にするので、ASEAN色のあるリーグにしていこうという戦略を立てている」(大河チェアマン)
将来的な市場規模について大河チェアマンは「測りたいところではあるものの難しいが、SVリーグ市場規模は2030年でクラブとリーグの合計で500億円。ASEAN全体では、放映権料にもよるが、それに匹敵すると見ている」と分析している。
だからこそ、SVリーグの各クラブには海外からのビジネスチャンスに感度を高めてほしいという。
「SVリーグはだいたい14時くらいから試合をするケースが多い。ただ、ヨーロッパやアメリカの有力選手が多く来ているから、本当は18、19時からした方がいいかもしれない。海外マーケットの視聴者は増えるとみている」(大河チェアマン)
「良い時間帯に見せることで価値を上げられる。SAGA久光スプリングスさんは今回佐賀でパブリックビューイングをやられる。タイでは16時から、日本では18時から両者にとっても良い」(久保田理事)
SVリーグが世界最高峰のリーグになれるか、その第一歩がタイで進められている。




