SVリーグ初の試み、海外での開幕戦がタイ・バンコクで行われる。10月9日の前日公開練習や会見にはタイのメディアも参加した。会見中、そのタイのメディアから日本メディアとはテイストの異なる斜め上な発言が出て、会見が和むシーンがあった。
開幕前日会見で、SAGA久光スプリングスから中田久美監督と栄絵里香キャプテン、アリーザ愛知からは酒井新悟監督と佐藤彩乃キャプテンが出ていて、タイ語の通訳を交えながら約1時間に渡って開かれていた。その会見の終盤、タイのメディアから手が上がり、ある男性が佐藤綾乃に対しての質問をした。
タイ語での質問を通訳が日本語にしたのが「最初に実際にアヤノさんにお会いし、写真で見るより美しい方だなと思いました。ヨシノさんに負けないくらい美しい方だな」と前置きしたのだ。選手も監督も日本のメディアも皆思わず笑ってしまい、佐藤も「ありがとうございます」と苦笑いしていた。
その後に続いた質問は「タイ選手が来ることによってチームに何か変化があるでしょうか」と尋ね、佐藤は「ヌットサラ(・トムコム)選手がいて、まずはチームにすごくプラスのエネルギーを与えてくれて性格も明るくてフレンドリーで前向きな言葉をかけてくれる。チームにすごく良い雰囲気を与えてくれる選手」と答えた。
タイでは可愛いや美しいを素直に褒める文化
会見終了後、あまりにも印象的だったので、質問の当事者であるMONOMAX Sports(モノマックス・スポーツ)でスポンツコンテンツ部門の責任者でありコメンテーターをつとめるコーシン・アッタノーラックさんに声を掛けて、質問の理由や、タイのスポーツ事情について教えてもらった。

コーシンさんはその理由についてこう答えてくれた。
「恐らく文化の違いだと思います。私はアヤノさんの妹であるヨシノ・サトウさんがタイや世界中にたくさんのファンがいるのを見ました。それで今日初めてアヤノさん本人を見ました。タイ人のコミュニケーションの仕方として、可愛いとか美しいと褒める時は素直に褒めるだけで『ああ、褒めたけど、どう思っているんだろう』という感じにはなりません。
本当に可愛いと褒められます。今日初めて彼女に会ったとき、ヨシノさんの姉であるアヤノさんを見て『ああ、本当に可愛くて綺麗だな』と思いました」
ただ、筆者らの反応に不安を感じたのか「タイでは誰かを褒めたいと思ったら、本人に直接伝える傾向があります。褒められた相手がうれしい気持ちになる、ポジティブなことだと考えていて、それ以上の意図はありません。日本の文化という観点から、あのように相手を褒めることは、実際に失礼にあたるのでしょうか。それとも、不適切な振る舞いだと考えられるのでしょうか?」と質問をされたので、褒めること自体は何ら問題無いことですよと伝えた。
日本のバレーボールの会見ではまず出てこないであろう発言だけに、タイならではの瞬間で面白さを感じた。
せっかくなので、コーシンさんにタイのスポーツの人気についても教えてもらった。
「タイで一番人気が高いのはやはりサッカーです。その次に女子バレー。ただ、代表の人気はすごく高いですが、女子のリーグ戦の人気はそれほど高くありません。なぜならタイの代表選手たちのほとんどがアメリカや日本のリーグでプレーしていて国内リーグではプレーしていないですし。あとはバスケットボールやボクシングの人気も高いですね。先月は(IBF(国際ボクシング連盟)ライトフライ級王者)タノンサック・シムシーが日本で防衛戦をして王座防衛をしたところ」
バレー女子タイ代表の中で特に人気の高い選手が誰か聞くと、周りのスタッフらと話して「ピンピチャヤ・コクラムやチャッチュオン・モクシーじゃないでしょうか」とした。チャッチュオンは今季は埼玉上尾メディックスでプレーする。
やはりタイでのSVリーグへの関心が高い様で「(タイ代表の人気選手)チャナティップ・ソングラシンがJリーグの北海道コンサドーレ札幌でプレーしていた時はタイから北海道へ旅行する人が増えました。これからSVリーグでもそうなるのでは」と見ていた。
ただ、コーシンさん自身はまだSVリーグの取材に行ったことがないので「タイの選手が6人もいるので、今季は取材に行きたいですね」と話してくれた。




