[写真]=大塚淳史

 2026-2027シーズンのSVリーグ女子の開幕戦SAGA久光スプリングス対アリーザ愛知がタイ・バンコクで開幕する。10月9日に試合前日の公開練習と記者会見などが行われた。

 リーグとして初めての海外開催という試みだが、タイは9月下旬に連日の大雨続きで各地で大きな被害が出た。バンコクも中心部で大規模冠水が発生。当初予定していた現地の学校でのクリニックが中止になった。開幕戦の行われるフアマーク・インドアスタジアムでは一部、被害が出るなど実施が危ぶまれていた。なんとか急ピッチで復旧させて無事に開催へとこぎ着けた。報道陣に公開された練習では、両チームの選手とも笑顔が多く見られるなどリラックスした雰囲気だった。

9月の洪水で大きな被害が出て間もない中での試合

 前日記者会見には、SAGA久光スプリングスの中田久監督と栄絵里香キャプテン、アリーザ愛知からは酒井新悟監督、佐藤彩乃キャプテンが出席した。

 中田監督はまず「集中豪雨により被害に合われた方、亡くなられた方に対して、まずはお見舞いとご冥福をお祈りたい。そういった中でタイで開催できることに対して、ご尽力に感謝します。タイの皆さんに少しでも元気を届けられる試合にしたい」とあいさつした。また、酒井監督は「中田監督からは洪水の話が出ましたので私からはまず、タイの女子代表チーム、関係者、ファンの皆さん、アジア選手権の優勝とロサンゼルス五輪出場権の獲得、本当におめでとうございます。バレーボールの熱が更に高まっているタイの地でできることを嬉しく思う。昨シーズンチャンピオンの久光さんに胸を借りて思い切ってやりたい」とあいさつした。

 また栄は「いよいよリーグが始まる。連覇のかかるシーズンで皆さんの注目もあるが、昨季の私たちの超えられる戦いができるように夏場からトレーニングをつんできた。タイはバレー熱がすごいので、そういう地で開幕を迎えられのは楽しみ。タイの皆さんに少しでも元気になってもらえるようなプレーとかしっかり出し切られるように頑張ります」と意気込めば、佐藤は「アリーザ愛知として1年目の戦いで、開幕戦はアリーザとしての初めての公式戦。歴史に残る一戦をタイで開催してもらえることに光栄に思う」と話した。

 タイらしいことをしたかとの問いには、栄は「私たちはタイに来てから基本的にホテルと会場の行き来しかしてない。タイらしいことをしてないけど、タイ料理を食べたり象の人形を頂いた」、佐藤は「私たちもホテルと会場の行き来しかしてないけど、ホテルを出している食事も日本料理ですが、昨晩はカオマンガイを出してもらって嬉しかった。今日はパッタイを出してもらえるので嬉しい」と話すと、隣で聞いていた栄が小声で「それは何?」と聞いて、佐藤が「麺のやつです」と教えていた。日本ではタイ風焼きそばとして知られる。

[写真]=大塚淳史

両チームには新旧タイ代表の人気選手在籍

 SAGA久光スプリングスにはタイ代表のハッタヤ・バムルンスック、アリーザ愛知には元タイ代表のヌットサラ・トムコムというタイでも人気の選手がそれぞれ所属する。

 自国でのリーグ開幕戦開催についてハッタヤは「バンコクで開幕戦ができて光栄。質の良いSVリーグの試合をタイの皆さんに見せることができて嬉しい」と話せば、ヌットサラは「嬉しいし楽しみな気持ち。SVリーグはタイでも人気なので、出身国で開催されるのが嬉しい」と笑顔を見せた。

 タイ女子代表はアジア選手権で優勝して初めての五輪出場を決めたことで、国内での人気がすさまじいことになっている。それについて問われるとハッタヤは「もともとのバレーのファンだけでなく、タイの人々全員が応援してくれた様な感じになってますね」、ヌットサラも「タイ代表は毎年新しい歴史を作り出していて国民が楽しんでいますね」と自国の盛り上がりを喜んだ。

 ヌットサラは既に代表からは引退しているが、今の代表を見ていて復帰したい気持ちにならないかと聞いてみると「もう引退して7年経っているので、代表は少し難しいかな。毎日ハードに練習しないといけないですし」と笑った。アリーザ愛知での今季もコーチ兼任選手だが、より選手の割合が高そうだ。

[写真]=大塚淳史

日本代表選手たちも意気込み

 両チームに所属する日本代表選手たちも今回の海外開幕戦ということでより気持ちを高めている。

 SAGA久光スプリングスの荒木彩花は「(海外開幕戦は)すごく大変だなというのが一番にくるけど、開幕戦かつ海外という、我々のチームが責任のある仕事をやらせていただけるのは誇りに思える。海外ではありますけど、日本と同じようにタイの皆さんを巻き込みたい」と話せば、井上未唯奈も「タイはバレーが今盛り上がっているのでワクワクしている。SVリーグ自体が世界最高峰のリーグを目指しているし、私たちも世界を目指しているチーム。こういう環境はありがたい。日本のリーグならではの女子バレーの魅力をタイの皆さんに伝えたい」と意気込んだ。

 また、アリーザ愛知の鴫原ひなたは「ワクワクしている。自分達にとってのリーグ開幕戦であり、海外で開幕するチャレンジという部分も含めて色んな思いがこもっている」と話した。

 日本代表活動にずっと参加しっぱなしだった北窓絢音は「今週くらいに代表活動が終わったのでタイの開幕戦は代表の延長戦みたいな感覚。休みは3日間だけでした」とフル稼働のままリーグ戦に突入する。今シーズンの目標について「大きな目標はアワードの獲得。昨シーズンMVPを取った(佐藤)淑乃さんみたいに、賞を取ることで自分の存在感を示せると思うし狙っていきたい」とモチベーションが高まっていた。

 一方で、同じく日本代表の活動に参加し続けた鴫原は「コンディションは問題無く、心も体も順調です。(オフは)3日間くらいくらいかなと思っていたら、(酒井)新悟さんが寛大で6日間休ませてくれた」と話し、代表活動で得た経験について「初代表でここまで出られるとは思っていなかった。ああいう素晴らしい舞台で戦わせてもらえて良い経験。まだ足りない部分があると感じたのでさらにレベルアップしていきたい」と目標を高めていた。

[写真]=大塚淳史

井上「代表で悔しい気持ち。今は試合に飢えている」オフはサッカー愛爆発

 同じく日本代表の井上は今年本格的に長い期間、代表活動に参加した。「代表で国を背負って戦うというプレッシャーの中でも楽しむことだったり。トップレベルの同じ日本人選手たちと一緒にできて経験した。悔しい気持ちもたくさんした。SVリーグでその悔しさを晴らしたい。(悔しさというのは)アジア選手権でメンバーに入れなかったり、逆にアジア競技大会でメンバー入りしたけど自分が力になれなくて負けた悔しさも経験した。トータルで、良い経験はもちろんできたけど悔しい気持ちが大きい代表シーズンだった。今は試合に出たくて飢えている状態」と闘志満々だった。

 ただ、しっかり合間のオフを楽しんでいるようで、今やファンにもお馴染みサッカー愛について聞かれると、「Jリーグのリーグ戦や、サガン鳥栖の天皇杯・東京ヴェルディの試合とか見に行ったりしました。行ける機会があれば全部行きました。天皇杯は後半延長で逆転して最高でした!」と笑った。井上といえばもはやサガン鳥栖とSAGA久光スプリングスを結びつける存在になっている。サガン鳥栖サポーターにも有名な存在だ。井上は「結構広まってて嬉しい。めっちゃプライベートで試合に行くんですけど、私がうるさすぎるのか、わぁー!ってなって隣の知らないお母さんと抱きついて喜んでいたら、皆が私の方を見て『バレーボールも頑張ってね!』と言われました。サッカーのサポーターも暖かいので頑張ります」と報道陣を爆笑させていた。

[写真]=大塚淳史

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この記事を書いたのは

大塚淳史

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