これまでは8位が最高成績で、昨季は10位だったチームが、なぜ今季は3位にまで躍進できたのか。
SVリーグ・レギュラーシーズン最終節でそう聞かれたPFUブルーキャッツ石川かほくの馬場大拓ヘッドコーチは、「その質問はいろんなところでされるんですが」と笑いながら、こう続けた。
「昨シーズンから積み上げていたところに、プラスアルファで今シーズン、移籍選手3名(セッター松井珠己、ミドルブロッカー横田真未、アウトサイドヒッター西川有喜)が加わって、その相乗効果でプレーのクオリティが高められたのかなという気がします」
中でも、日本代表経験もあるセッターの松井が、移籍1年目から核となってチームを引っ張ってきた。松井が加入した効果を馬場ヘッドコーチはこう語る。
「彼女はしっかりとプランを立てながらトスを配球できるセッター。自身の状況を把握し、チームのことも考えながらトス回しを考えているので非常に助かっています。それに、練習への取り組み方という部分でも、スタンダードを高めてくれている。それがもともといた選手にもいい影響を与えてくれています」
海外で実績のある大型エースがいるわけではないが、オポジットのバルデス メリーサや、決定力のあるミドルブロッカー、そして川添美優、大熊紀妙、上村杏菜、西川、大村季色というタイプの異なるアウトサイドヒッター陣を、司令塔の松井が巧みに活かして勝ち星に繋げてきた。
松井はやり甲斐をにじませながら言う。
「普通はたぶんチームによって、これぐらいのテンポ、という共通の型みたいなものがあると思うんですけど、このチームのアウトサイドは全員、スピードも高さも違うし、『割って(ネットから離して)欲しい』とか(求められる)トスの質が違うので、フロントに誰がいるかというのを毎回確認しながら、その人の打ちやすいトスをイメージして、しっかり上げるようにしています。考えることはすごく多いですけど、コンビが合った時の達成感は、今まで以上にあります」
かつてはデンソーエアリービーズに所属していたが、過去2年はブラジル、アメリカのリーグで揉まれた。その間、日本のリーグはVリーグからSVリーグへと進化。今季、久しぶりに日本のリーグに戻って感じた変化をこう語る。
「全体的に外国人選手の起用が増えたので、やっぱり以前より高くなっていて、海外にいる時と同じではないですけど、『ブロックが高いな』と感じることは結構あります。あとはシーズンが長いので、お互いに相手チームのことを知り尽くした状態で試合をする難しさもあるし、同時に裏をかく楽しさもあるのかなと思いながら今は戦っています」
特にセッターは、試合を重ねれば重ねるほど相手チームに徹底的に分析されるが、それを逆手に取ることも考えている。
「相手の分析だけじゃなく、アナリストに自分のトス配分についても聞いて、このローテーションはこういう攻撃が多いとか、自分の傾向もしっかり頭に入れながら、毎回試合に入るようにしています」
SVリーグはレギュラーシーズンだけで44試合と、昨季プレーしたアメリカのリーグよりも試合数が多いが、松井は微塵も疲れを見せない。トスだけでなくディグでも、俊敏に、貪欲にボールに食らいつき、勝利への執念を体現していた。
「自分は試合を楽しめるし、体力もあるほうだと思うので、『きついな』とか、『もう終わって欲しいな』みたいな気持ちは全然ありません。まだまだバレーをしたいし、チャンピオンシップも終わって欲しくないな、という気持ちです」
むしろ「ここからのチャンピオンシップが本番」と言わんばかりに目を輝かせた。
PFUはホームで開催されたチャンピオンシップ・クォーターファイナルでクインシーズ刈谷に2連勝し、セミファイナルに進出。18日からはSAGA久光スプリングスのホームで、ファイナル進出をかけて戦う。今季、一番長くバレーを楽しむチームになるために、まだ終わらせない。




