[写真]=須田康暉

2026年バレーボール男子日本代表は、ネーションズリーグ・アジア競技大会・アジア選手権を戦う。男子日本代表は、2023年から2024年にかけて歴史的な躍進を遂げた。

30年ぶりにブラジルを破り、16年ぶりに自力でオリンピック出場権を獲得。さらにパリオリンピックではイタリアをあと一歩まで追い詰めた。

本記事では、男子日本代表の名試合を3つ紹介する。

ネーションズリーグ2023 ブラジル戦|30年ぶりの歴史的勝利

[写真]= Volleyball World

2023年ネーションズリーグ予選ラウンドで、日本がブラジルを相手に30年ぶりに勝利した試合だ。

ブラジルは、オリンピックで3度の金メダルを誇る強豪チーム。日本が公式の国際大会でブラジルに勝ったのは、1993年が最後だった。この試合のスタメンは以下のとおりだ。

ポジション日本代表ブラジル代表
アウトサイドヒッター石川 祐希
髙橋 藍
リカルド・ルカレッリ
エンリケ・オノラート
オポジット宮浦 健人アラン・ソウザ
ミドルブロッカー小野寺 太志
山内 晶大
ルーカス・サアトカンプ
オタヴィオ・ピント
セッター関田 誠大ブルーノ・レゼンデ
リベロ山本 智大タレス・ホス

試合は日本が主導権を握る展開で始まった。第1セット、石川のスパイクと髙橋藍のサービスエースなど25-23で先取。第2セットも、勢いそのままに25-21で連取した。

ところが、ブラジルが本領を発揮。第3セット18-25、第4セット22-25と立て続けに奪い返された。ブラジルの高さとパワーが日本のブロックを弾き飛ばし、サーブで日本のレセプションを崩される圧倒的な内容だった。勝負は最終セットへ。

最終セットは一進一退の攻防が続いた。サイドアウトを繰り返し、17-16で日本のマッチポイントの場面。石川のサーブでブラジルのレセプションを乱すと、チャンスボールが返ってくる。それを髙橋藍が決めきり18-16で勝利した。30年間勝てなかった相手から、フルセットの死闘の末に勝利をもぎ取った。

この試合は石川27得点・宮浦24得点・髙橋藍21得点と攻撃陣が爆発した。とくに宮浦の活躍が大きかった。この大会で初スタメンだったものの、ブラン監督の期待以上に結果で応えた形だ。

セッター関田誠大のトスワークも冴えていた。クイックやパイプを使い、ブロックを絞らせない。最終セットでも、難しい体勢からパイプを使って、ノーブロックの場面を作ったほどだ。

誰か1人に頼るのではなく、サーブで崩し、ブロックとレシーブを連動させ、関田のトスで組織的に攻める。ブラジルに勝利した日本は、開幕7連勝。世界に「日本の強さ」を証明した一戦だった。

パリオリンピック最終予選 スロベニア戦|16年ぶりの自力切符

[写真]=Getty Images

2023年10月7日、パリオリンピック最終予選で、日本はスロベニアに勝利。16年ぶりに自力でオリンピック出場を決めた試合だ。

初戦を落とし追い込まれた状況からの出場権獲得、代表を引っ張ってきた藤井直伸の逝去といった背景もあり、涙ありの歓喜の試合となった。この試合のスタメンは以下のとおりだ。

ポジション日本代表スロベニア代表
アウトサイドヒッター(OH)石川 祐希
髙橋 藍
ティネ・ウルナウト
クレメン・チェブリ
オポジット(OP)西田 有志ロク・モジッチ
ミドルブロッカー(MB)小野寺 太志
髙橋 健太郎
アレン・パエンク
ヤン・コザメルニク
セッター(S)関田 誠大グレゴル・ロプレト
リベロ(L)山本 智大ヤニ・コヴァチッチ

立ち上がりは最悪だった。第1セット、日本はいきなり1-6とリードを許す。スロベニアの強烈なサーブに押され、サイドアウトのリズムが作れない。

そこから石川を軸に点差を詰めていく。関田のトスワークが機能し始めると、小野寺と髙橋健太郎のクイックが通り出し、日本の攻撃は一気に加速した。西田のバックアタック、髙橋藍のサーブで相手の攻撃を崩す。1-6から逆転で第1セットを25-21で奪取した。

勢いそのままに第2セットは25-22、第3セットは25-18で勝利。攻撃陣だけではなく山本のディグが何度もチームを救い、「日本らしい守備からの切り返し」が光っていた。

最後のポイントが決まった瞬間、コートに歓喜の輪が広がった。石川・髙橋藍・西田など、ほとんどの選手は涙を流しながら喜んだ。

さらに髙橋健太郎が藤井直伸のユニフォームを掲げる。「藤井さんのためにも必ずオリンピックへ出る」「藤井さんがいたから今の代表がある」とチーム全員が藤井への思いを語っていた。「オリンピック出場」を藤井に届けられて喜ぶ場面は、まさに感動的だった。

16年ぶりの出場権・初戦黒星からの逆転劇・藤井への思いが詰まった、歓喜と感動の一戦だ。

パリオリンピック準々決勝 イタリア戦|あと1点の激闘

[写真]=Getty Images

2024年8月5日、パリオリンピック準々決勝のイタリア戦。序盤から主導権を握り、勝利まであと1点まで追い詰めたところから、逆転負けを喫した試合だ。

予選ラウンドの日本は1勝2敗。ドイツに2-3、アルゼンチンに3-1、アメリカに1-3という結果だった。最終戦のアメリカ戦では1セット取れば予選通過する状況だったものの、2-0に追い込まれる。この試合不調だった石川に代わって大塚が出場すると、采配が的中。なんとか3セット目をもぎ取り、予選通過を決めた。

グループ3位でギリギリ決勝トーナメントに滑り込んだ。予選ラウンドでは、とくに石川の不調が目立った。サーブで崩されることが多く、スパイクもあまり決まっていない。そのため準々決勝で調子が戻るか心配されていた。この試合のスタメンは以下のとおりだ。

ポジション日本代表イタリア代表
アウトサイドヒッター(OH)石川 祐希
髙橋 藍
アレッサンドロ・ミキエレット
ダニエレ・ラヴィア
オポジット(OP)西田 有志ユーリ・ロマーノ
ミドルブロッカー(MB)山内 晶大
髙橋 健太郎
ジャンルカ・ガラッシ
ロベルト・ルッソ
セッター(S)関田 誠大シモーネ・ジャネッリ
リベロ(L)山本 智大ファビオ・バラーゾ

第1セット、サイドアウトを繰り返しながら終盤で抜け出して25-20で先取。第2セットも競り合いながら25-23で取りきった。イタリアを相手に2セット連取。「このままいける」と期待が膨らむ。

そして迎えた第3セット。中盤以降にリードを広げ24-21で日本のマッチポイント。あと1点で48年ぶりのベスト4。しかし、ここからイタリアが驚異的な粘りを見せた。イタリアのサービスエース、石川と西田の連続ミスで詰め寄られ、24-24に追いつかれる。デュースにもつれ込み、日本は3回のマッチポイントを迎えたが、25-27でこのセットを落とした。第4セットもシーソーゲームとなったが、終盤にイタリアが抜け出して24-26で失う。

最終セットは拮抗する展開。そんななか、最初のマッチポイントを握ったのは日本だった。しかし小野寺が痛恨のサーブミス。そこからイタリアに連続得点を許し15-17で敗れた。

石川・髙橋藍・西田らはコート内で涙を流した。石川はこの試合32得点。予選の不調が嘘かのように、エースとしてチームを引っ張り続けた。西田有志も強烈なスパイクとサービスエースでイタリアの守備を打ち破り、髙橋藍は攻守にわたって献身的なプレーを見せた。それでも、あと1点が届かなかった。

試合後、石川は涙を流しながらこう語った。「チームメイトは頑張ってくれましたし、僕がこの結果を招きました。最後に託されて決め切れなかった部分に、責任を感じています」髙橋藍は当時所属クラブでチームメイトで、イタリア代表のガラッシと抱き合いながら涙を流した。西田はブラン監督の胸で涙を流した。

ただの敗戦ではなく、目の前まで迫った勝利を見逃した敗北。あと1点が届かなかった、あまりにも悔しい結末だ。オリンピックの大舞台で、イタリア相手にマッチポイントを3度握り、最終セットまで戦い抜いた。日本バレーの実力が、世界トップレベルにあることを証明した試合だ。

歓喜と感動の名試合3選

本記事では、バレーボール男子日本代表の名試合を3つ紹介した。

  • 30年ぶりのブラジル撃破
  • 16年ぶりのオリンピック出場権獲得
  • オリンピックでのイタリアとの死闘

どの試合もバレーファンに、歓喜と感動を与えてくれた。2026年は、ネーションズリーグ・アジア選手権・アジア競技大会が開催される。とくにロサンゼルスオリンピック出場権がかかったアジア選手権は、熱い大会になるだろう。ぜひリアルタイムで日本代表を応援しよう。

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この記事を書いたのは

重村暁希

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