バレーボールネーションズリーグ(VNL)2026大会で、日本代表は予選ラウンド史上初となる12戦全勝を達成し、最終順位4位で大会を終えた。
石川祐希や髙橋藍、西田有志といった不動のスタメンが活躍を見せるなか、途中出場やスタメン起用に応えた選手たちの活躍が光った。とくにカナダ戦やフランス戦では、途中出場の選手たちが試合の流れを大きく変えて、チームの勝利に貢献した。
本記事では、VNL2026で評価を大きく上げた5人の選手をピックアップし、2028年ロサンゼルス五輪に向けたポジション争いの序列変化を考察する。
不動のスタメンが見せた安定力

今大会はアウトサイドヒッターの石川祐希と髙橋藍が、攻守両面で世界トップクラスの存在感を示した。石川は苦しい場面でのリバウンド処理やブロックアウトで確実に得点を重ね、精神的支柱としてもチームを牽引した。髙橋藍はリベロ並みの守備範囲と安定したサーブレシーブ、勝負どころでの強烈なスパイクで、攻守ともに世界トップクラスのパフォーマンスを見せた。
オポジットは西田有志、セッターは深津英臣をメインに今大会を戦った。西田のスタメン起用は順当、深津のスタメンは意外だったという印象だ。36歳の深津は7年ぶりに代表に復帰、永露の控えという事前予想を覆した。
西田の攻撃力は安定し、深津のトスワークは連勝の要因となった。深津のハンドリングは、ギリギリまでどこに上げるかわからないフォームで、相手ブロッカーを惑わせる。一本目が乱れても、スパイカーに正確に供給できるトスは、得点の起点になっていた。
ミドルブロッカーは試合ごとに代わっていたが、石川・高橋藍・西田・深津をメインに、今大会は安定したパフォーマンスで、日本代表は史上初の12連勝を達成した。
大塚達宣

大塚達宣は、今大会でアウトサイドヒッターのなかで強い存在感を放った。
印象的だったのが予選ラウンドのカナダ戦だ。日本がセットカウント0-2と追い込まれた状況から投入された大塚は、チーム最多となるスパイク18得点をマーク。カナダのブロックに苦しめられていた日本だったが、大塚が入ってブロックアウトやストレートへの強打を打ち分けて、大逆転勝利の立役者となった。
イタリア・セリエAのミラノでプレーする大塚は、海外の大型ブロッカーとの対戦経験を重ねてスパイクの選択肢と状況判断力を磨いてきた。ブロッカーの指先を狙ったブロックアウト、ブロックの横を抜くストレートとインナー。相手ブロッカーに、的を絞らせなかった。
まさに勝負どころでコートに立ち、チームに流れを引き寄せられる頼もしいアウトサイドヒッターだ。
【ロス五輪に向けた序列】
パリ五輪では石川の不調時にスタメンを任された実績がある。石川と髙橋藍の壁は高いものの、コンディション次第ではスタメンを奪える評価を得たといえるだろう。
宮浦健人

オポジットの宮浦健人は、強烈なサーブと高い打点からのスパイクで、途中出場ながらも日本に勢いをもたらした。
今大会はセッターとの2枚替えで出場する場面が多かったが、それでもスパイクとブロックでチームに貢献していた。とくにブロックをかわして打つストレートと、ハイセット(二段トス)に対する処理能力が光った。途中出場という難しいコンディションでも、しっかりと結果を残した。
カナダ戦ではスタメン出場し、15得点を挙げてチームの逆転勝利に貢献した。とくに鋭く曲がる「バナナサーブ」で相手レシーブを崩し、連続得点の足がかりを作った場面は圧巻だった。相手ブロックが完成する前に、長いリーチを生かして高い打点から打ち切るスパイクは、脅威となった。
状況を問わず点を取り切る攻撃力は、今後の国際大会でも日本の大きな武器となるだろう。
【ロス五輪に向けた序列】
途中出場ながら、西田有志にも負けない得点力を示した。ブラジルに勝利した2023年のVNLではスタメンで出場しているため実績は充分。今後のリーグや国際大会の成績によっては、スタメンの可能性がある。
富田将馬

富田将馬は、安定した守備で日本代表を救った選手だ。
カナダ戦では途中出場ながら14得点を記録。相手の強烈なサーブを的確にコントロールしてサーブレシーブを安定させると、攻撃面でもブロックを利用した巧みなスパイクやフェイントを織り交ぜて得点を取った。日本代表が逆転勝利できたのは要因には、富田の安定したレシーブがあった。
石川が調子を落としたときに、交代で入ることが多かった今大会。途中出場ながらも、石川の穴を埋める活躍でチームに貢献した。現在はリザーブという位置だが、チームに必要不可欠な唯一無二のユーティリティプレーヤーだ。
【ロス五輪に向けた序列】
守備固めのリザーブにとどまらず、ミスの少ないオールラウンダーとして定着するだろう。守備力はスタメン級なため、ハイセットやパイプなど攻撃力の向上がスタメン定着への課題だ。
エバデダンラリー

エバデダンラリーは、機動力と身体能力の高さを存分に発揮した。
カナダ戦では12得点を挙げ、クイックとブロックの両面で存在感を示した。テンポの速いアタックを決め、相手ブロッカーを中央に引きつけることで、ブロッカーを引き付け、サイド攻撃マークを薄くした。
またリードブロックでも相手スパイカーにプレッシャーを与え続けた。横の移動と完成までの速さは、日本でもNo.1といえる。小野寺太志・髙橋健太郎・山内晶大に続き、今後の成長次第でミドルブロッカーの序列を変えられる可能性を秘めている。
【ロス五輪に向けた序列】
小野寺や髙橋健太郎といった経験豊富なミドルブロッカー陣に対し、攻撃のスピードと若さ溢れる機動力を武器にスタメン枠へ急接近した。今後はスタメンに定着する可能性を秘めている。
西本圭吾

西本圭吾は、強烈な闘志と読みの鋭さでチームの雰囲気を一変させる活躍を見せた。
象徴的だったのが予選ラウンド第2週のフランス戦だ。完全アウェイの雰囲気の中、日本が2セットを先取された第3セットからコートに入った西本は、熱いガッツポーズと声がけでチームを鼓舞。ブロックで流れを引き寄せると、第3セットのセットポイントでは相手のスパイクをシャットアウトを決めてセットを奪取した。結果として、日本はフルセットで3-2の逆転勝利を収めた。
189cmとミドルブロッカーとしては小柄ながら、相手スパイカーのコースを瞬時に読むポジショニングと、一定の高さで手を前に出してブロックを完成させるまでの速さが光る。気迫のあるガッツポーズや雄叫びは、コートに入るだけで空気を変えられる頼もしい存在だ。
【ロス五輪に向けた序列】
劣勢の局面でチームの士気を高め、ブロックで流れを奪い返すスペシャリストとして、ベンチに不可欠なゲームチェンジャーとしての立ち位置を確立した。
ロス五輪のメンバー選考は始まっている
2026年のネーションズリーグ、石川や髙橋藍などの主力へ依存せず、誰が出場しても高いパフォーマンスを維持できるチームであることを示した。
大塚・宮浦・富田・ラリー・西本の5人は、それぞれ異なる強みを発揮して存在感を示した。2028年ロサンゼルス五輪に向けてポジション争いはさらに激しくなり、日本の選手層はより厚くなっていくだろう。今後のアジア選手権や世界大会での結果はもちろん、メンバー選出にも注目だ。




