3シーズン目を迎えたSVリーグが開幕した。今季からルールが変わり、コート内で同時にプレーできる外国籍選手の枠が2から3に増えたことで、各チームが抱える外国籍選手の数は大幅に増加。ビッグネームも続々と参戦している。
その中で注目の1人はウルフドッグス名古屋に新加入した36歳のジェニア・グレベニコフだ。フランス代表のリベロとして東京、パリの両五輪で金メダルを獲得し、どちらもベストリベロに輝いた。日本のトップリーグで外国籍のリベロがプレーするのは初めてのことだ。
日本には世界トップレベルのリベロ山本智大(大阪ブルテオン)、小川智大(ルブリン)がいるが、グレベニコフはその2人も一目置く存在。かつてWD名古屋に所属し、今季はポーランドのルブリンでプレーする小川は、グレベニコフについて、「超トップ選手。ミスが少ないし、飛び抜けてすごいものを持っている。個人的には“世界ベストリベロ”と言っても過言じゃない」と語っていた。
高い技術と安定感、豊富な経験、そして個性豊かなフランス代表の面々をまとめ上げてきたコミュニケーション力と統率力を備える。WD名古屋のヴァレリオ・バルドヴィン監督は、「彼は世界のベストプレーヤーの1人であり、技術的に文句のつけようのない選手。ただ、そうしたバレーのスキルだけでなく、メンタルスキルや戦う姿勢も兼ね備えている。そういう選手を我々は求めていた」と大きな期待を寄せる。
10月10、11日にパナソニックアリーナで行われたプレシーズンマッチ「OSAKA AICHI GAMES」では、外国籍3人枠の関係もあり、グレベニコフは市川健太との併用で2試合に出場し、日本製鉄堺ブレイザーズ、大阪ブルテオンに連勝。コートの中では常に周囲に声をかけ続けていた。
昨季リーグ王者・大阪Bにフルセットで勝利した試合後には、「自分たちにとって非常にいいテストの機会になった。ブルテオンは本当にいいチームで、2チーム作れるぐらい層も厚く強いチーム。最初はサーブで攻められてプレッシャーをかけられ、あまりいいスタートを切れなかったけれど、徐々に自分たちの感覚を取り戻して勝つことができた」と手応えを漂わせた。
これまではイタリア・セリエAやロシアリーグでキャリアを重ねてきた。今季SVリーグへの移籍を決断した理由についてはこう話した。
「以前は、日本でプレーできることを期待していませんでした。なぜなら外国籍選手の枠が2枠だったから。そういう制約の中では、なかなか外国籍のリベロは取れないだろうなと。一般的にはアウトサイドやオポジットの選手を獲得するでしょうから。でも3枠になったことで、難しいけど可能性はあるんじゃないかと思った。ウルフドッグスからオファーをもらい、このチームがメダルを獲得するために戦っているとわかりましたし、そこに自分が加わることはエキサイティングなことだと感じたので、このチームを選びました」
リベロの市川は、偉大なライバルの加入に対し、「厳しくなるな、とは思わなくて、僕の成長につながるんじゃないかなと思った」と明かす。ともに練習やプレシーズンマッチを行う中で、日々大きな刺激を受けているという。
「スキルも経験も、全然僕とは違うレベルにいるなと感じるんですけど、その中ですごいと思う部分をあえて一つ挙げるとするなら、『1本目は俺が取るんだ!』というボールへの執着ですね。たとえ人のボールでも、奪ってでも自分が取りに行くんだ、俺が1本目を触るんだ、それがリベロの仕事だから、というプライド。そこが一番驚きました」
グレベニコフと同い年で、今年7年ぶりに日本代表に復帰しロサンゼルス五輪の出場権獲得に貢献したセッターの深津英臣は、「オリンピックで金メダルを獲るために、ジェニアにアドバイスをもらいたい」と冗談めかしながら、こう語った。
「ジェニアの近くにいると、『1日1日を大切にしているな』というのをすごく感じます。当たり前のことを当たり前にやるというのは実はすごく難しいこと。毎日のケアだったり、練習に対する思い、試合に対する思い、勝つための思い、そういうものはプロとしては当たり前なんですけど、でもその当たり前ができない人が多い。彼はそれをちゃんと積み重ねているから、こういう選手になるんだなと、近くにいて感じます。
試合になっても、リベロは点数を取れないんですけど、リーダーシップを発揮して、チームが勝つために後ろからいっぱい声を出してくれている。プレーはもちろんトップレベルなんですけど、プレー以外のところもすごく、他の選手の参考になるんじゃないかなと思います」
リーグ開幕前の時点で、すでにチームメイトの心をガッチリと掴んでいる守護神。開幕後も、試合を重ねるごとにチームに大きな影響を与えそうだ。




