バレーボールの勝敗を分ける要素はいくつもある。
最も大きいと言われるのは、スパイク効果率。いかに相手よりもミスや失点がなく、スパイクを決めることができたか。その数字は勝敗に直結すると言われている。
つまり、ごくごくシンプルに言うならば、勝つために求められるのは相手よりも多く点を獲ることであり、相手には点を獲らせないように封じること。
そのための要素となるのが、サーブとブロックで主導権を握ること。SVリーグ男子のセミファイナル初戦、連覇を狙うサントリーサンバーズ大阪と天皇杯を制したウルフドッグス名古屋の対決は、まさにそれが顕著に表れた一戦だった。
公式帳票の数字を見ても、サントリーのアタック決定率が50.7%だったのに対し、WD名古屋は34.2%。ブロック本数は10本と7本、サーブ効果率も14.7%と7.4%とどちらもサントリーが上回っていることからも結果として示されているが、数字だけでなく試合を通じてサントリーのブロックタッチの回数や、ブロックを抜けた場所でのレシーブ成功回数。いわゆる“ブロック&レシーブ”が見事に機能していた。
218センチのドミトリー・ムセルスキーに207センチのイゴール・クリュカ、204センチの鬼木錬。目に見える高さでもサントリー大阪が圧倒的に上回っているのは明らか。WD名古屋のセッター深津英臣も「相手ブロッカーが大きいし、(ムセルスルキー、鬼木、クリュカ)3選手が前に並ぶと平均身長2m10ぐらいでどこに上げてもブロッカーがついてくるうえに、関田(誠大)や(髙橋)藍、サーブのいい選手が打ってくる。セッターとしてかなりストレスがあった」と言うように、目に見える高さで勝っていることに加え、試合を通じて光ったのは長身者がずらりと揃う中では高さがない部類に属する髙橋のブロックだ。名古屋のオポジット、宮浦健人の攻撃に対してコースを塞ぐだけでなく、効果的なワンタッチでつないで自チームの攻撃に切り返してブレイクを重ねる。
高さはなくても巧さが光るブロックを、髙橋自身はこう語る。
「自分にはイゴールやディマ(ムセルスキー)のようなブロックができるわけではないので、アグレッシブに見極めて、止めに行こうと意識しています。後ろにいる小川(智大)選手が『藍のフィーリングでいいよ』と言ってくれるので、宮浦選手にプレッシャーをかけるためにどういうブロックをすればいいか。後ろと連携しながら跳びました」
優れた個が前後で連携して、組織となって動く。日本代表選手も多いチームならではの強さであるのは確かだが、では具体的に髙橋のブロックは何が長けているのか。
証言者が2人いる。1人は、髙橋も名前を挙げたリベロの小川だ。セミファイナルでも好守を連発した小川は「僕はブロックしたことないですけど」と笑いながら、前で跳ぶ髙橋のブロックの長所を具体的に語った。
「ポジション4(前衛レフト)でのブロックは相手のAクイックもヘルプしながら、ライトの宮浦も見ないといけない中で、藍は圧倒的に見切る“目”がいい。AパスやBパス、パスの違いやセッターの特徴をつかんでいるのでヘルプも厚いけれど、サイドステップも速いので、クイックがないと判断すればフルジャンプできるので、後ろから見てすごいな、と感じるしうまいと思います」

もう1人の証言者はブロックを本職とするミドルブロッカーの小野寺太志だ。大前提として、サントリーの選手は「サイド(ブロック)を1枚で止められる選手が揃っている」と言い、髙橋のブロックに関しても小川と同様に判断の良さを挙げることに加えて、位置取りの巧さ。そのブロックが機能するからこそ生まれるチームとしての強みを、より詳細に語った。
「藍は相手セッターの動きやパスが返る位置、トスの位置をよく見ているだけでなく、目線を瞬時に切る判断が本当に上手で、位置取りもいい。大げさじゃなく、彼が位置取りを間違っていることは本当にないので、そういう力はイタリアでプレーした経験や代表、いろんなシチュエーションを経験してきたことで身につけたんだと思います。ミドルの目線で言えば、サイドブロックがよければ(ミドルは)攻撃を限定して『そっちは任せて俺らはこっちに跳ぶよ』と対応できる。(WD名古屋のノルベルト・)フベル選手や水町(泰杜)選手、真ん中の攻撃で存在感を出してくる選手に対して常に意識を持ち続けることができたので、自分もいい場面で止められた。パッと見ているだけではわからない部分かもしれないですけど、そういう要素があることはチームとしてすごく大きいです」
SVリーグを代表する選手として常に注目を集め、放つスパイクやサーブ、後衛時のレシーブが象徴するディフェンス力の高さは周知の通りだが、数字に表れないプレーでもチームの勝利に貢献する。主将として臨む連覇がかかったファイナルへ向け、髙橋が誓う。
「サントリーでの2シーズン、たくさんの方が応援に来て下さって、素晴らしい環境でバレーボールができました。皆さんの期待に応えられるように、恩返しできるように、優勝して、最後はみんなで笑って終わりたいです」
大阪ブルテオンとの頂上決戦でどんな攻防が繰り広げられるのか。どんなプレーが勝敗を分けるのか。勝敗や数字だけでは見えない面白さが、いくつも詰まった最終決戦は間もなくだ。




