キラリと輝く新星がまた一つ、ここに。今年、バレーボール女子日本代表に初登録されたミドルブロッカーの井上未唯奈(SAGA久光スプリングス)はネーションズリーグ予選ラウンド第2週のフィリピン大会で出場登録メンバー入りを果たすと、現地6月19日のチェコ戦で初スタメンを飾り、そこで代表初得点をマークする。鮮やかなBクイック、それもSAGA久光でチームをともにするセッター、栄絵里香との息ぴったりのコンビだった。
ミドルブロッカーとしてプレーするようになったのは、大阪の名門・金蘭会高校に入ってから。地元の千葉・翔凜中学校時代はレフトつまりアウトサイドヒッターとしてエースを務め、恵まれたサイズを存分に活かし得点を重ねていた。それもあってかミドルブロッカーながらクイックだけでなくサイドからのアタックも繰り出せる。「彼女の持ち味は器用さ」とはSAGA久光のチームメートから聞かれる評価だ。
高卒で入団したSAGA久光では2季目の2025-26シーズンで花開き、シーズン後半からは2枚替えで投入される機会も増えた。あくまでもポジションはミドルブロッカーだが、ライトつまりオポジットの配置である。その点を井上自身は前向きにとらえていた。
「自分の攻撃の幅がとても増えましたので、そこは自信になりましたね。オポジットの位置に入っても、ミドルブロッカーとして繰り出しているようなブロード攻撃をやりますし、それだけでなくハイセット(2段トス)を打つ練習にも取り組んでいました。ライト方面からの攻撃を身につけることができたのは、この2025-26シーズンの大きな収穫でした」
振り返るに、かつてはレフト方面が“主戦場”だったとあって、ライト方面からのアタックには当初、苦労したという。それでもシーズンを通して磨き続けた結果、井上未唯奈というアタッカーとしての可能性はさらに広がった。
それは女子日本代表においても同様だ。練習ではミドルブロッカーとしてコートに立っているが、フェルハト・アクバシュ監督からは「まだまだ若いから、ポジションを固定しようとせずに、いろんなプレーにトライしてほしい」という言葉を授かった。
「そう言ってもらって、純粋に嬉しかったです。自分自身の可能性をつぶさないで、いろんなポジションやプレーと向き合っていこうと思いましたから」
その一方で、ミドルブロッカーとしても求められるブロックに関しては、女子日本代表が今年の強化ポイントに掲げるなか、井上自身はやや面食らった様子。昨年の「2025女子U21世界選手権大会」の決勝ではイタリアを相手にチーム最多4本のブロックシャットを叩き出していたが…。
「けっこうブロックには自信があったんですけど、今年こうしてシニアの代表に初めて参加させてもらって、周りがすごすぎました…。もっとやらなければと思いますし、これもやろう、あれもやろう、こういうことをこういうふうにやっていこう、と常に考えています。だから、今はブロックにめちゃくちゃ自信があるわけではありません(笑)」
身長180cm。日本国内では長けているとはいえ、世界を相手に見れば当然難しい面はある。それでも日本が敷くトータルディフェンスの中で、そのブロックが活きる可能性は十分に考えられる。
「周りのミドルブロッカーの先輩方は横の移動がとても速いんですよ。海外は高さはもちろん、例えばアジア圏のチームはスピードのあるコンビバレーを使ってくる印象があるので、そこに対応できるような横移動の速さは私も身につけなければと考えています」
攻守双方でさらなる成長曲線を描いている井上。学生時代から日本代表そしてオリンピックを夢や目標に口にしてきたが、それがより具体的になった今、思いを強くする。
「オリンピックも今までは少し遠いものだと感じていましたが、そうではないと思うようになってきました。はっきりと自分の目標だ、と言えますし、直近ではロサンゼルス大会が開催される年をしっかりと見据えています。まずは今年、初めてシニアに選んでもらえたので、チャンスをいただけたら絶対にものにしたい。そのためにも試合に出ることから、そして出るためにも練習からたくさんアピールしていきます。初代表、頑張ります!!」
今週の「ACNバレーボールネーションズリーグ2026女子大阪大会」も出場登録メンバーに名を連ねる井上にとって、そこもまたアピールの場となるだろう。己の可能性を広げ、信じながら、夢への旅路を突き進む。




