ネーションズリーグ(VNL)は、7月15日から第3週大阪ラウンドが始まっている。FIVBランキング4位の日本代表はここまで9勝0敗と絶好調で、15日のイタリア戦で決勝トーナメント進出も決めていた。
16日のカナダ戦は世界ランキング15位の相手に苦戦を強いられ、第1セットと第2セットを連取される厳しい展開に追い込まれた。しかい日本は交代選手の活躍で試合をひっくり返し、セットカウント3-2(18-25、24-26、29-27、25-19、15-11)で逆転勝利を挙げている。
日本はここまで挙げた10勝のうち6試合がフルセット。そんな「粘り」はチームの持ち味になっている。ただこの試合はより難しく、より輝かしいものだった。
ロラン・ティリ監督は試合後、顔をほころばせながらこう語っていた。
「私のコーチキャリアの中で1、2を争う美しい勝利だったのではないかなと思います」
そしてこう続けた。
「昨日の試合はフィジカル的にもメンタル的にもかなりすり減った試合だったので、今日の試合がタフになるのは分かっていました」
ただし62歳のフランス人指揮官には試練、苦しみから学ぶという信念がある。先発メンバー6名のうち5名はイタリア戦と同じだった。心身とも厳しい状況でプレーする選手たちを観察し、次につながる部分を見定めていたのだろう。
日本は第1セットをあっさり落とすと、第2セットもカナダにリードを許す展開となった。するとティリ監督は大胆な手を打つ。富田将馬、大塚達宣、永露元稀、宮浦健人ら交代メンバーを次々にコートに送り込んだ。
日本は第2セットも落としたが、最大5点のビハインドから追いつき、デュースまで粘った。
大塚は第2セットの半ばに髙橋藍に変わってコートに入り、最終的にはチーム最多となる18得点を挙げている。アタック成功率も55%とアウトサイド陣ではチーム最高だった。この試合の「MVP」を選ぶならおそらく彼だろう。
大塚は第2セットをこう振り返る。
「僕だけでなく、途中から入ったメンバーみんなで引っ張り合いながら高め合いながら、2セット目の終盤に追いつくところまで行けた。この感じでいけば、行けるんじゃないかなと思いました」
もちろんすべてのスパイクが決まるわけではないが、大塚は相手のブロックに対して「ねじこむ」ようなパワーと迫力を見せていた。そこはイタリア・セリエAの経験から学んだ部分だった。
「ブロックのつき方だったり、相手について考えすぎると、自分自身がうまくいかなくなるときもありました。まずは自分がしっかり強く叩ける位置で、強く長く叩く。それが決まらなくても、間違いなく相手にじわじわとダメージは与えられているものです。ディグで上げられたとしても、チャンスボールになって返ってきたりとか、相手のミスにつながったりする場面もありました。決まった、決まらなかったで一喜一憂すると、メンタル的にはうまくいきません。しぶとくしつこく、長く強く打ち続けられたところは良かったかなと思います」
第3セットは相手に粘られたものの、第4セット以降は完全に日本の流れだった。大塚、富田はアタックだけでなく、レシーブと連携の守備面でも強みを出していた。
大塚はこう説明する。
「今日は富田さんと小川(智大)さんとのパスの関係性も、本当に良かったなと思います。3人でしっかりコートを守れていました」
富田はこう胸を張る。
「練習でやっていないことは試合でできないけど、練習から白組(主力組)のメンバーだけでなくチーム全体がそういうプレーをできていました。選手が変わってもそれをやるだけだと思っていて、それをしっかり4セット目からできていました」
大塚のこんな言葉が印象的だった。
「楽しくてしょうがないと思えるときは、いいときだと思いますけど、今日はそう思える試合でした。第5セットになっても、まだまだ続いてほしいと感じる試合でした」
カナダ戦は今までの「9勝」とはまた違う形で、日本の強さが見える内容だった。誰が出ても「日本のバレー」をやり切れる。誰かが悪くても、仲間がカバーできる。今の男子日本代表はそんなチームだ。




