[写真]=坂口功将

 どこかいつも以上に、代名詞である笑顔がはじけていたように映った。

 「ACN バレーボールネーションズリーグ2026 男子 大阪大会」の大会3日目、7月17日にベルギーと対戦した日本のアウトサイドヒッター、大塚達宣(ミラノ〔イタリア〕)に試合後、聞いてみる。ずばり、楽しかった?

「楽しかったです。めちゃくちゃ!!」

 理由は明確だった。この日の対戦相手にはミラノでチームメートのフェレ・レガーズ(来季の所属先はペルージャ)、セッペ・ロッティの2人がいたから。「試合前やストレッチの段階から、ずっとしゃべっていたので」と大塚はほほえむ。

 試合では大塚がサーブでアウトサイドヒッターのロッティをねらう一方で、世界で指折りのオポジットであるレガーズが強烈なサーブを大塚に見舞う場面も。さらに第1セット中盤にはレガーズを大塚が一枚ブロックで仕留めた。とりわけレガーズとは大塚が初めてイタリアへ渡った2024年から直近2シーズンをともに過ごしてきたことが、この試合では随所で生かされた。

 「もう毎日、一緒に練習していたので。充分なくらい、お互いの癖を分かりきっていました。彼(レガーズ)もおそらく僕のスパイクコースは全部頭に入っていたでしょうし、逆にそれは僕も同じ。試合の出だしで彼を止めたら、そのあとにやりがちなミスの傾向や、それこそ『このシチュエーションのボールはここにブロックに跳べば』『この位置より横にボールを切ればアウトになる』というのを踏まえたうえでプレーしていました。

 序盤から得点を取られましたが、要所で彼もミスを出してしまった部分はありましたし、そこに関してはプレッシャーをかけ続けることができたと思います。

 それに彼の素晴らしいサーブに対しても、目が慣れていたんですかね? 毎日受けていたので(笑)、リズムが染みついていたのか、すんなり対応できました」

 日本代表の一員として誇りを持って戦うことは大塚にとっては原動力の一つとなっている。と同時に、こうしたつながりのある面々とネットを挟んで戦うこともまた、「僕のモチベーションの一つであるのは事実です」。同じアウトサイドヒッターのロッティを引き合いに出して大塚は言う。

 「ロッティ選手もやはりいいプレーヤーなんですよ。スイングがよくて、今日もたくさん点数を取られました。彼は怪我をしてしまい、リハビリの期間を経て、今こうして代表活動に戻ってきました。そういう姿を見ると、僕もとても刺激を受けます。

 お互いの国を背負って戦えることはほんとうに嬉しいと感じますし、味方だと頼もしいですが、敵になると厄介。いい選手だなとあらためて実感しました」

 大塚の口から、ミラノのチームメートたちの賛辞はやまない。一方、ベルギーの彼らもまた大塚について聞くと、目尻を下げた。レガーズの“大塚評”がこうだ。

 「彼とは仲良しで、今大会のホテルでも何度か会えました。もちろんプレーヤーとして技術に優れていて、パーフェクトな存在です」

 ミラノではともに主力を務めたものどうし。レガーズはキャプテンとして大塚へ絶大な信頼を寄せていた。

 「タツ(大塚)はやるべきことをはっきりと伝えたほうがいいタイプの人間だと分かっていますし、こちらがそうすることによって、それを理解して完璧にこなしてくれます。なので、試合中も私は彼に少しばかり手助けするような声かけをすることを心がけていました。それがキャプテンとしての私の役割でもありましたから。

 何より、ほんとうに彼と出会えたことを心から嬉しく思います」

 ちなみに、レガーズが明かした大塚との一番の思い出はチームビルディング合宿での一コマだった。

 「シーズンを迎えた当初、1週間ほどのチームビルディング合宿を行う機会があったんです。そのときにみんなでパスをしていたら、川にボールが落ちてしまう事態に見舞われました。しかもボールを落としたのがタツで、それを拾うのが彼の役目に。なんとか棒で取ろうとしていたのですが、もう全然うまくいかなくて!!(笑)

 ほんとうにクレイジーな、笑える瞬間はいくつもありましたが、あの場面はとにかく面白かったですね」

 近くに落ちていた木の枝を使って大塚もボールを取ろうとしたが、その枝が折れてしまい、チームメートたちも爆笑をこらえられなかったのだという。なんとも愛されぶりが伝わってくるエピソードだが、それもやはり大塚の人柄があってこそだろう。2025/26シーズンからミラノに加わったロッティも大塚との思い出を語る。

 「初めて僕がチームに合流したときにタツは、それはもう感情的に喜びを表現してくれたんです。正直、それまで彼のことは知りませんでした。ですが、チームメートになってから、とてもよくしてくれましたし、第一印象から最高でした」

 シーズン半ばに大塚が負傷離脱した際も、アップゾーンでは2人が話す様子が見られたもの。ロッティはそれを“日常風景”と表現した。

[写真]=坂口功将

 「タツとはいろんなことを話します。彼自身のこと、バレーボールのこと、それに家族のこと。タツは大阪出身でしょう? 今回、ここに来る前にも話を聞いていました。彼と話すのは日常的なことですし、その時間が私はとても好きなんです」

 そう口にするチームメートについて大塚が語るとき、必ずといっていいほど出てくるのが「家族」という単語だ。

 「それぐらい仲がいいですし、ずっと一緒に過ごしていますから。なので、こうしてネットを挟んで戦っていること自体も、どこか不思議な感覚がします」

 お互いに母国を背負って戦ったこの日、同じくしてイタリア・セリエAは2026/27シーズンのスケジュールを発表した。ミラノのレギュラーシーズン第1節は現地10月18日。“イタリアの家族”とボールをつなぐ時間が、大塚達宣を待っている。

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坂口功将

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